「な、なに……っ?」
ビックリして思わず体を起こす。
すると、シートを倒した隙間から凍ったペットボトルが差し出されていることに気付いた。
「驚かせてごめん。苦しそうだったから、冷やせばスッキリするかと思って」
長谷川君が心配そうにあたしの顔を見つめる。
本気で……心配してくれてるの?
なんでこんな時だけ……。
「はい」とペットボトルを渡され、戸惑いながらも思わず受け取ってしまった。
「首元とか顔とか冷やすのに使っていいから」
「で、でも」
「いいから。酔ってんだろ?そのツラさ、すっげーわかるし。俺もよく酔うしさ」
「あ、ありがとう」
思いがけない優しさに最初は戸惑ってしまったけど、あとからジワジワと温かい気持ちが込み上げた。
あたしが思うほど、悪い人じゃないのかもしれない。