うえっ。


ホントに気持ち悪い。



「顔色悪いけど、体調悪い?」



いつもは掴みどころがないくせに、こんな時だけ心配そうにするのはやめて欲しい。


調子が狂うじゃん。


いつもみたいに、冷たく笑ってくれたらいいのに。


そんな顔されたら、本音が漏れちゃうよ。



「少し……酔っちゃって」



弱みなんて見せたくないのに……自然とそう口にしていた。



耐えられなくなって座席に腰を下ろし、シートを倒した。


目を閉じて右腕で顔を覆う。


最悪だよ。



目を閉じた途端、ぐるぐるフワフワし始める。


吐いてスッキリしたいけど、バスの中じゃ人の目もあるからガマンせざるを得ない。



込み上げて来るものと必死に戦っていると、突然頬にヒヤッとした冷たい物が当たった。