「お前はいつだって俺任せだよな。お前の本音はどうなんだよ?」



ベッドに寝転んでスマホをイジっていた海里は、起き上がってあたしの目の前に腰を下ろした。


寝ぐせが付いたキャラメルブラウンの髪からシャンプーの匂いがして、こんな時なのにドキッとする。


だけど何となく冷たい空気が、やけに肌に突き刺さって痛い。



「俺と別れたいのかよ?」



「…………」



なんで?


そんなわけないじゃん。


声にならなくて、小さく首を振った。



「じゃあ別れねーから、深く詮索すんな」



「……ごめん」



そう言い切られてしまい、結局肝心なことは何も聞けなかった。


ホントのことがわからなくて胸が苦しかったけど、海里があたしと別れることを選ばない限りはそばにいたい。


離れたくない。


海里はあたしの居場所だから。


それって間違ってるのかな?


「わり。これから行くとこできたから、もう帰ってくんねー?」


「え、でも。今来たばっかり……」


「ダチが困ってるみたいだから」


そう言われて、素直に従うしかなかった。


深く詮索するな。


だからあたしはあっさり引き下がった。


胸の中に、モヤモヤを残したまま。