放課後の校舎裏。


ジリジリと距離を詰めて来る派手な先輩たちからは、吐き気がするほどの甘ったるい香水の匂いがプンプンする。


これから何をされるかなんて考えたくもない。



あたし……何も悪いことしてないのに。


悔しくて唇を噛み締める。


突き刺すような冷たい視線に耐え切れなくて、軽く下を向いた。



「なに?今さら後悔してんの?」



「キャハハ!こいつ、ビビッてるよ」



「ホントだ〜、震えてんじゃん!ウケる〜!」



「あ、あたし……ほんとに、そんなことしてない」



「うっせーんだよ!ウソつくな」



勇気を出して振り絞った声は、怒り交じりの声に掻き消された。


いつものことじゃん。


そう……いつものこと。


こんなの、慣れっこなんだから。



だけどさ。


話したこともないあなたたちが、あたしの何を知ってるっていうの?


なにも知らない人に、どうしてそこまで蔑まれなきゃいけないの?


集団でしか行動出来ない意気地なしのくせに。