「で、家族でメシ食いに行ったんだ?」



「うん、そうなの。迷惑かけてホントにごめんね」



次の日。


学校に行くと、すでに来ていたヒロトを屋上に連れ出した。


昨日のことを改めて謝りたかったのと、中途半端なまま曖昧にしていたことをはっきりさせたかったから。


「仲直りできてよかったな。俺は……早く高校卒業したい」


「どうして?」


「早く大人になって、あんな家出てってやる」


「そっか……そうだよね」


DVって言ってたもんね。


「今は殴られることもなくなったけど、酒飲んで暴れられたら手がつけられなくなるんだよ。おかげで、全身傷だらけ」


わりとヘビーな話を、あっけらかんと軽く笑い飛ばすヒロト。


でもね、あたしは知ってる。


こんな風に笑えば笑うほど、傷ついているんだってことを。


「ヒロトにはあたしがいるよ。辰巳君も」


「はは、サンキュー」


「昨日の続きだけどね。ヒロトって……あたしのことが好きなんじゃないの?」



「え?は?なんだよ、いきなり」



冷たい風がビューッと吹き抜ける。


自分でも何でこんなことを言ってしまったのかはわからない。


だけど……ずっと考えていたことだった。



「だから!ヒロトって、あたしのことが好きでしょ?」



ポカンとするヒロトにもう一度言った。


言ってるこっちの方が恥ずかしいんだから、何か反応してよ。