「そんなわけないだろう?結愛はパパとママと……お母さんの宝物なんだから。面倒だなんて思うはずがないよ」


「そうよ。結愛ちゃんは大事な娘だもの」


「……っ」


話してみないとわからないことってたくさんある。


みんなそれぞれ思ってることが違うなんて、思いもしていなかった。


勝手に決め付けて、勝手に諦めて。


向き合おうとして来なかったのは、紛れもなくあたし自身だ。


震えるお母さんの体を抱き締め返すと、お母さんはさらにキツく抱き締めてくれた。


ずっとずっと……欲しかったものが手に入った。


あたし、ホントはお母さんにこんな風に抱き締めてもらいたかったんだ。



「お母さん……ごめん、なさい……っ」



あたし……カン違いしちゃってた。


お母さんの気持ちをわかろうとしてなかった。



「謝らなくていいのよ。結愛ちゃんに嫌われたくなくて思ってることを言えなかったけど、もう決めたわ。これからは遠慮しないって」



涙声が耳元で聞こえた。


強い意志を感じさせるようなその言葉の意味はわからなかったけど、きっとあたしが欲しかったものがそこに詰まってる。