キミに捧ぐ愛



「お母さん……ただいま」


「ゆ、結愛ちゃん……おかえり」


「うん」



小さく返事をして中に入ると、2階には上がらずリビングに足を運んだ。


ちゃんと話をすると言った広大は、早々とダイニングの椅子に座っている。


あたしはそんな広大の隣にそっと腰を下ろした。



後を追うようにリビングに入った母親は、そんなあたしたちを見て何かを察したように軽くうつむく。



「姉ちゃんも知ってるから、全部教えて。俺たち家族のほんとのこと」



ひどく落ち着いた広大の声に、母親はゆっくり顔を上げた。


泣きそうな顔をしてたけど、覚悟を決めたように強く頷くと、あたしたちの向かい側に静かに腰を下ろした。



「広ちゃんはね、母さんと前の恋人の子どもなの。でも彼には他に婚約者がいて、母さんは浮気相手だった。自分が浮気相手だと知ったのは、情けないけど彼に振られた時だったの。それまで二股されていたことなんて知らずに……」



「別れて苦しんでいる時にね、優しく声をかけてくれたのが同じ会社で働く宗大(そうだい)さんだったの」



宗大とはパパのこと。


馴れ初めを聞いたことはなかったけど、2人はそんな風に出会ったんだ。



「奥様を亡くされてお辛いはずだったのに、宗大さんは本当に優しくしてくれた。可愛い娘がいるんだって、毎日のように写真を見せて下さったり、お話を聞かせて下さったの」



可愛い娘って……あたしのこと?