ニッコリ笑っているけど、目が笑っていないから何となく雰囲気が怖い。
後ろ姿を見ているだけでも、そこからピリッとした空気が伝わって来た。
後輩君もそれを感じ取ったのか「ホント申し訳ないっす」とペコペコしている。
「で、本人は?」
「あ、今ハヤトたちが連れて来ます」
「そっか。ご苦労様」
「いえ、長谷川先輩のお役に立てて嬉しいっす!」
会話の流れについていけない。
いったい、2人は何の話をしているの?
ポカンとしていると、ドアの方が騒がしくなり始めた。
「離せよっ!触るんじゃねー!なんなんだよ、お前ら!」
誰かの怒鳴り声が聞こえて来る。
暴れているのか、ガシャンと大きな音まで聞こえて不安になった。
な、なに……?
「来たみたいだな」
ヒロトが囁いたその時、ドアから大声の主が入って来た。
「離せっつってんだよ!」
その人は威勢のいい声を張り上げてジタバタしているけど、両脇をガタイの良い男子にきっちり固められて逃げられる状態じゃない。
「こ、広大……っ!」
なんで!?