女子は今日は走り幅跳びだったけど、自分の番じゃない人はほとんど男子に釘付けだった。
そんな視線に気付いているのかいないのか、ヒロトはいつもと変わらない余裕の表情。
きっと自分がモテることをわかっているんだろうけど、取り巻きの女子たちには一切目もくれずに時々フザケたりしながら笑っている。
こうしてると、普通の男子に見えるのにな。
ヒロトは無愛想な辰巳君とは違って、教室では女子にも男子にも当たり障りなく接しているし、誰に対しても態度を変えたりしない。
だけど多分、それは興味がないだけなんだと思う。
淡々と笑いながら、淡々と交わしている。
表面上はうまく付き合っているように見えるけど、ヒロトはやっぱり他人と一線引いているように見えた。
それはあたしに対しても同じで、辰巳君は違うって言ってくれたけどそうは思えない。
それが時々寂しいと思うのは、あたしの中でヒロトの存在が大きくなって来たからなのかもしれない。
仲間なのにっていう気持ちが、心のどこかにあるんだ。