好きとかじゃ……ないもん。
正直、今のあたしは自分で自分の気持ちがよくわからない。
海里のことを思い出して泣くことはなくなったけど、今でも胸が苦しくて仕方ない。
それって未練があるってことなのかな。
色々考えてたら余計にわからなくなって、今ではあんまり考えないようにしている。
だけど、なぜか。
ヒロトが気になるのは確かだった。
2人が言うように、さっきだってホントはヒロトのことを見ちゃってたし。
男子は今日はサッカーをしていて、ヒロトは余裕の笑みを浮かべながらピッチに立っている。
辰巳君や綾瀬君とは同じチームみたいで、さっきから3人の連携プレーがすごくて思わず目で追ってしまっていた。
見ているのはあたしだけじゃなくて、ほとんどの女子がそこに目を向けてキャーキャー言ってる。
「ヤバい、辰巳君マジでカッコ良い」
「惚れるよね!ホントイケメンすぎる。でも、あたしは長谷川君派だなー。王子様みたいだし」
「あたしもー!」
「あー、ずっと見てたいよ」
男子の姿を見たいがためにわざとダラダラ走る女子もいるほどで、先生は「早く戻ってこい!」と大声を張り上げている。
改めて辰巳君とヒロトの人気っぷりを思い知った。