「また大翔っちのこと見てるー!」
体育でのウォーミングアップ中、女子だけでゾロゾロと校庭を走っているところにみっちに脇腹を小突かれた。
「みみ、見てないよっ」
「ふふっ、ウソばっかりー!」
「確かに、さっきからチラチラ気にしすぎではあるよね」
今度はマイがクスッと笑った。
シュシュで結わえた綺麗な黒髪が、サラサラと左右に揺れている。
屈託のない笑顔が、なんだか今は憎らしい。
「だから見てないってばっ!」
身振り手振りで必死に否定しても、聞く耳を持ってもらえない。
2人は完全にあたしがヒロトを好きだとカン違いしてる。
カン違い……。
そうだよ、だって好きとかじゃないもん。
ありえないよ。