「悪かったって」


「許さない」


「根に持つタイプかよ」


「……かなりね。これがほんとのあたしなの」


「おー、いいじゃん」



そんな声が聞こえたかと思うと、次に頭をポンポン撫でられた。


優しくて温かいヒロトの手の温もりに、心臓が大きく飛び跳ねる。



「そうやって、思ってることズバズバ言う方が絶対にいいよ」



ううっ。


さっきまでからかって来ていたかと思えば。


今度はご機嫌取り?


ダマされないんだからねっ。



文句のひとつでも言ってやろうと思って起き上がった。


だけどーー。



ーードキン



穏やかに笑うヒロトと目が合った瞬間、そんな気持ちはどこかに吹き飛んで。


代わりにドキドキと胸が高鳴り始める。


な、にこれ。


なんで……ヒロトにドキドキするの?



どこかから視線を感じて目を向けると、辰巳君と目が合いクスッと笑われた気がした。