『寂しい奴だから』
辰巳君がどういう意味でそれを言ったのかはわからない。
だけどなぜか、寂しく笑うヒロトの顔が頭に浮かんで泣きそうになった。
「こいつが人に執着しねーのは、単に興味がないだけじゃなくてさ」
辰巳君は気持ち良さそうに寝息を立てるヒロトを見つめる。
その横顔は、やっぱり切なげだった。
「愛を知らねーから」
「え?」
愛を……知らない?
ドクンと胸が鳴った。
どういう、こと?
「愛を知らねーんだよ、こいつ。生まれてからずっと。だから人に執着する気持ちとか、大切に想う気持ちが欠けてんだと思う」
愛を知らない……。
『生まれてからずっと』
その言葉がリアルに胸に突き刺さった。
辰巳君はやっぱりヒロトのことをよくわかってる。