「もう、しっかりしてよ」
何気なく肩をバンッと叩いた。
こんなことが出来るようになったのはごく最近。
「んなこと言われても、ムズイからな」
「まぁ、これは応用問題だからね。テストに出ると思うから、ちゃんとマスターしてよね」
「んー」
何とも気の抜けた返事をする辰巳君には、ため息しか出ない。
ホントにもう。
ちゃんとわかったのかな?
「次、こっち」
「え?」
耳元で低い声がしたかと思うと、手首を掴まれて引っ張られた。
見上げれば、そこにはちょっと不機嫌そうな長谷川君がいて。
ん?
なんか怒ってる?
気のせいかな?
「どこがわかんないの?」
「べつにないよ」
「え?」
ない?
わからないから呼んだんだよね?