それからというもの、あたしは毎日のように溜まり場に行った。


ビルの鍵は長谷川君も持っているから、辰巳君がいなくても入ることは出来る。


辰巳君がいない時もあったけど、ほとんど毎日3人で夏休みの宿題をしていた。


マジメにやりそうにない2人だったけど、意外と真剣で。


教えれば教えるほど、2人は伸びていった。



「へえ。この問題って、こういう風に解いたら良かったんだ」



テーブルの上で数学の宿題を広げる長谷川君がふむふむと妙に納得しているのを、呆れ顔で見つめる。



「それ、1学期の最初に習ったところだから」



「え?マジ?聞き覚えねーよ」



「いや、マジだから。テストにも出たじゃん」



「いや、知んない」



「俺も」



隣からボソッと辰巳君の声がした。


2人とも……よくこれで補習にならなかったな。