「いいじゃん、お願い」
両手を顔の前に持って来て、可愛くお願いして来る長谷川君。
うっ。
そんな顔で見られたら、断わろうにも断れない。
きっと、狙ってやってるんだ。
まぁでも、いろいろ助けてもらったし。
少しは恩返しした方がいいよね。
「夏休み明けたらすぐに実力テストがあるけど、大丈夫なの?」
「んー、なんとかなるんじゃない?」
「なんとかって……」
ならないでしょ。
ノリ軽っ。
「良かったら勉強教えようか?」
自慢じゃないけど勉強は出来る方だし、テストの山もわりと当たるからそっちの方がいいと思う。
「えっ!?マジで?いいの?」
パアッと花が咲いたような明るい顔で笑う長谷川君。
クリクリの目が細くなって、とびっきりの笑顔を見せてくれた。
な、なによ。
ちょっとドキッとしちゃったじゃん。
反則だよ、そんなの。
「いいよ。1人だと効率悪いし」
ホントはウソ。
あたしを必要としてくれてるみたいで、すごく嬉しかった。