電話を切ると、着替えて髪を整えてから家を飛び出した。
メイクやオシャレをするよりも早く、今は家を出たかった。
この虚しい気持ちをどうにかしたかった。
皮肉なことに、長谷川君が指定して来たのは海里との思い出が詰まったゲーセン。
夏休みだからなのか、いつも以上に人であふれている。
「如月さん」
「ご、ごめん、お待たせ」
片手を上げてニッコリ微笑む長谷川君に笑顔を向けた。
「早かったな」
ニッコリ笑っているけど、長谷川君の笑顔が今日はやけに冷たく見える。
目が笑ってなくて、どことなく寂しげに思えた。
何かあったのかな……?
「あ、うん。うち、ここから10分くらいだから」
「へえ、そうなんだ」
「うん!長谷川君はどうしてここに?」
「まぁ、色々あって。現実逃避的な感じかな」
現実逃避……か。
みんなそれぞれ、色々あるよね。
だけど長谷川君は押しては引いていく波のように、近付いたと思ったら突き離してくる。
きっと長谷川君の心には誰も入れない。
長谷川君の心は、誰の侵入をも拒み続けている。
そんな笑顔をしていた。



