「でもまぁ、お前のウワサを勝手に信じた俺も悪かった」
「ウワサって……」
「相当な男好きで、遊んでるって」
ーードクン
やっぱり、そんな風に思われてたんだ。
そうだよね。
否定したところで、誰も信じてくれないもん。
「でも、違うんだろ?相当な男好きだったら、俺に見向きもしないなんてありえねー」
「その自信はどっからわいてくるの?っていうか、ほんっとにバカにしてるでしょ?」
どれだけ自分に自信があるわけ?
聞いて呆れる。
「本気にするなよ。冗談だろ」
「なにそれ」
ますますバカにされてるとしか思えないんですけど。
シラけた目を向けると、辰巳君はフッと柔らかく笑った。
「悪かったって。お前が泣いてたから、笑わそうと思って」
「めんどくせーとか言ってたくせに。全然笑えない冗談言わないでよ」
それに……。
「お前って……言わないで」
そう言われるたびに海里の顔がちらつく。
優しかった手の温もりを思い出して、涙が溢れて来ちゃうから。
「じゃあなんて呼べばいいわけ?」
「……ユメ」
「世話が焼ける奴だな」
面倒くさそうな低い声。
だけど嫌がっているように聞こえないのは、辰巳君が実は優しい人だってことがわかったから。



