辰巳君は人のことを見ていないようで、しっかり見てる。
そして鋭い。
冷たい瞳の裏側で、あたしのズルくて卑怯な部分を見抜かれていそうで怖かった。
「お、お邪魔します……」
辰巳君に続いて中に入る。
長い廊下の先にあったドアの向こうに、以前来た時と変わらない広い空間があった。
電気をつけると、辰巳君は冷蔵庫を開けて何やらゴソゴソし始める。
どうしたらいいのかわからずに固まっていると、「座れば?」とソファーを目で指された。
コの字型のソファーの端っこの方に腰掛ける。
すると辰巳君が飲み物を手にやって来て、あたしに差し出す。
「ん」
「あ、ありがと……」
よくわからないけど、こういうところはきっちりしてるんだ。
そんな風には見えないのに。
なんて言ったら失礼かな。
うん、失礼だよね。



