泣き続けるあたしに、海里は「ごめん」と言い続けた。


冷静なその声を聞いていると、海里の覚悟や意思の強さが伝わって来て。


もうどうにもならないんだってことを思い知った。


浮気したことを責めたりなんて出来るはずもなく、海里もまた、あたしが本音を言わなかったことを責めたりしなかった。


きっとお互いわかっていたんだ。


今さら責めてもどうしようもないということを。


あたしたちの仲はそれくらいじゃ戻らないということを。


もっと早く本音を言ってたら、あたしたちはこんな結末を迎えなくて済んだのかな?


海里のことをわかったつもりで嫌われないようにして来たのに、きっとあたしは最初から間違っていたんだ。


海里のことを何も……わかってなかった。


ズルくて最低なあたし。


最初からちゃんと向き合っていれば、こんなことにはならなかったのに。


言いたいことを我慢してきた結果がこれじゃあ、もうどうしようもない。



「送ってく」



そう言ってくれたけど、あたしは首を横に振った。


これ以上優しくされたら、海里に別れたくないって泣いてすがってしまいそうだったから。



失ったものはあまりにも大きくて、心にぽっかり大きな穴が開いた。


きっと……この穴が埋まることは一生ない。


あたしの中で海里の存在はとても大きかったから。