「嫌いだったらとっくに別れてる。俺、自分にウソついてまで好きじゃない女と付き合わねーし。言っとくけど、お前に好かれてるって思ったことねーから」
「……え?」
海里から聞かされた本音に耳を疑う。
好かれてると思ったことがない?
なん、で?
わけがわからないよ。
キョトンとしていると、海里が口元を緩めてフッと笑った。
悲しげで寂しそうなその顔を見て、胸がギュッと締めつけられる。
やめてよ、そんな顔であたしを見るのは。
目をそらしたくなってしまう。
「お前、なんも言わねーもん。寂しいとか会いたいとか、メールとか電話もいっつも俺からで。俺に合わせてばっかで、気ぃ遣ってんのがバレバレだった」
え?
だって……それは、海里が面倒だからあんまりしたくないって。
そう言ったから。
「色んな男とウワサがあっても、俺に否定することなくヘラヘラ笑ってるし。そんなんで好かれてるとか思えねーだろ?あー、こいつ俺に興味ねーんだなって思ってた」
言葉に詰まった。
ううん、何も言い返せるはずなんてなかった。
その言葉の裏側に隠された海里の気持ちが、ひしひし伝わって来たから。
「確かに俺は面倒くさがり屋でマイペースだけど、もっとワガママとか言って欲しかった。『今すぐ会いに来て』とか『今何してんの?』とか。もっと振り回してほしかった」
なに、それ。
だって、海里はそんなタイプじゃないはずで。
どちらかというと俺様で、強引で。
あたしが振り回されていたんだよ?
「そういう風に見えねーと思うけど、俺『寂しい』って言われたらすっ飛んで行くタイプだし」
うそ、だ。
だって……だって、海里は。
そんなこと、あたしにひとことも言ってくれなかった。



