「ごめんね。俺、バカだから」
「うん……ホントにね」
バカだよね。
でもきっと、あたしのことを見抜いたくらいだから、人のことをよく見て分析してるんだと思う。
「つーか、んなとこで喋ってねーで早く行くぞ。ダルい」
腕組みしながら静かに口を開いた辰巳君は、長谷川君を置いてスタスタ行ってしまう。
無口でクールで……何となく怖い。
長谷川君と違って取っ付きにくそうだし。
これからはあんまり関わらないようにしよう。
「あ、おい。待てよ!ほら、如月さんも早く来て」
「え?いや、あたしは……」
「いいから!大丈夫だし」
そう言って腕を引っ張られ、さっき来た道を逆戻りさせられるハメになった。
いや、全然大丈夫じゃないから。
良くないから!
なんて思ったけど、長谷川君には届かなかった。