月曜日に彩乃くんのお部屋に活けた極楽鳥(ストレチア)はまだまだ充分綺麗だったので、その中の3本だけを桐やスプレー菊と合わせて床の間に飾っておいた。
残りの2本は、お家元のお部屋の床の間へ。
確信はないけれど、お家元もこの花が好きなような気がしたので、こちらはマンサクとロウバイと共に活けておいた。
先週のお花や花器を片付けがてら、あちこちに花を挿して回ってると、バッタリと年配の社中さんに出くわすことがある。
茶道の癖で廊下でもパッと座って座礼をしてしまのだが、その都度、礼を返してくださるものの不思議そうな顔をされてしまう。
確かに、制服だしお花を運んでるし、あきらかに部外者だから会釈程度で済ませてしまえばいいのかもしれない。
でも、会釈では無作法と思われても悲しいし……。
そんな風に戸惑うことも多いので、今日のように、他に社中さんがいらしてない日は気が楽だ。
それは、お家元も彩乃くんも同じなのかもしれない。
「明子ちゃん、お疲れ様。ご一緒にお3時のお茶にしませんか?彩乃さんも。」
どうやら彩乃くんのお稽古が終ったらしい。
お家元がそう誘ってくださった。
「わ!ありがとございます。あ、私、お茶たてましょうか?」
せっかく立派な茶室があるのだ。
さすがに今から炉に炭をくべると時間がかかるので、電気ポットのお湯で。
よく考えたら、お袱紗も何も持ってなかったな。
お家元が出してくださったのは、栗のお菓子。
「あ!」
それまで口をへの字にしてた彩乃くんが、お菓子を見るなり声を上げた。
「彩乃くん、このお菓子好きなん?」
彩乃くんは無言で目をキラキラと輝かせていた。
……好きらしい。
てか、喜びを我慢せんでも。
「先代が亡くならはってもう食べられへんと思ってましたけど、ほんまにありがたいことです。」
そう言いながら、お家元が栗のお菓子を、赤塗りの銘々皿に取り分けてくださった。
練り餡の茶巾絞りの中に栗がいっぱい入っている。
私は、ポットのお湯を小さな鉄瓶に入れて、それでお茶をたてた。
「どうぞ~。」
お家元に先にお出ししたけれど、既に彩乃くんがお菓子を食べ切ってしまっていたので
「彩乃さん、お先にどうぞ。」
と、彩乃くんに回された。
「お先にちょうだいいたします。」
彩乃くんはそう言ってお茶碗を受け取り、私にも
「お手前ちょうだいいたします。」
と言ってから、お茶碗を手に取った。
彩乃くんに見とれつつ、お家元のためにもう1杯お茶を立てた。
「ありがとう。明子ちゃんも、どうぞ。栗のお刺身、と言われてたのよ。」
お刺身?
私は、自分の分のお抹茶はたてずに、栗のお菓子をいただいた。
黒文字で切って口に入れる。
……ん?んんん?
いただいているのは、確かに栗と餡のはず。
なのに、餡の部分まで栗のように感じる。
残りの2本は、お家元のお部屋の床の間へ。
確信はないけれど、お家元もこの花が好きなような気がしたので、こちらはマンサクとロウバイと共に活けておいた。
先週のお花や花器を片付けがてら、あちこちに花を挿して回ってると、バッタリと年配の社中さんに出くわすことがある。
茶道の癖で廊下でもパッと座って座礼をしてしまのだが、その都度、礼を返してくださるものの不思議そうな顔をされてしまう。
確かに、制服だしお花を運んでるし、あきらかに部外者だから会釈程度で済ませてしまえばいいのかもしれない。
でも、会釈では無作法と思われても悲しいし……。
そんな風に戸惑うことも多いので、今日のように、他に社中さんがいらしてない日は気が楽だ。
それは、お家元も彩乃くんも同じなのかもしれない。
「明子ちゃん、お疲れ様。ご一緒にお3時のお茶にしませんか?彩乃さんも。」
どうやら彩乃くんのお稽古が終ったらしい。
お家元がそう誘ってくださった。
「わ!ありがとございます。あ、私、お茶たてましょうか?」
せっかく立派な茶室があるのだ。
さすがに今から炉に炭をくべると時間がかかるので、電気ポットのお湯で。
よく考えたら、お袱紗も何も持ってなかったな。
お家元が出してくださったのは、栗のお菓子。
「あ!」
それまで口をへの字にしてた彩乃くんが、お菓子を見るなり声を上げた。
「彩乃くん、このお菓子好きなん?」
彩乃くんは無言で目をキラキラと輝かせていた。
……好きらしい。
てか、喜びを我慢せんでも。
「先代が亡くならはってもう食べられへんと思ってましたけど、ほんまにありがたいことです。」
そう言いながら、お家元が栗のお菓子を、赤塗りの銘々皿に取り分けてくださった。
練り餡の茶巾絞りの中に栗がいっぱい入っている。
私は、ポットのお湯を小さな鉄瓶に入れて、それでお茶をたてた。
「どうぞ~。」
お家元に先にお出ししたけれど、既に彩乃くんがお菓子を食べ切ってしまっていたので
「彩乃さん、お先にどうぞ。」
と、彩乃くんに回された。
「お先にちょうだいいたします。」
彩乃くんはそう言ってお茶碗を受け取り、私にも
「お手前ちょうだいいたします。」
と言ってから、お茶碗を手に取った。
彩乃くんに見とれつつ、お家元のためにもう1杯お茶を立てた。
「ありがとう。明子ちゃんも、どうぞ。栗のお刺身、と言われてたのよ。」
お刺身?
私は、自分の分のお抹茶はたてずに、栗のお菓子をいただいた。
黒文字で切って口に入れる。
……ん?んんん?
いただいているのは、確かに栗と餡のはず。
なのに、餡の部分まで栗のように感じる。



