パーティー会場は、既に賑わっていた。
壁際と真ん中に、色とりどりの美味しそうなお料理が並んでいる。
まだ誰も手をつけてないということは、乾杯のあと、ってことかな?
私は、キョロキョロとお料理を見渡し、ケーキのコーナーをチェックした。
家元と彩乃くんが会場に入ってくると、厳かに拍手が広がる。
司会者に紹介されて、お家元がマイクの前に立つ。
長年1人で流派を支えてきた女丈夫が、小さく見える。
……それほどまでに、一歩控えた彩乃くんの存在感は大きかった。
お家元は、彩乃くんの「芳澤綾之助」の襲名と副家元就任をここで正式に発表した。
そこではじめて、お家元のそばに立つ男性が、髪を切った彩乃くんだと気づいた人が多いらしい。
変などよめきが起こっていて、なんだかおもしろかった。
彩乃くんは、やっぱり別人のように、堂々とご挨拶をした。
凛々しい男ぶりに、女性陣は老いも若きも色めき立った。
お付き合いのあるらしい政治家の音頭で乾杯。
みなさんがお料理に群がるなか、1人でケーキとお紅茶をもらってくる。
「……いきなり、それ?」
呆れるセルジュに
「だって胸がいっぱいでお腹すいてへんねんもん。でもケーキは食べたい。」
と、開き直って、美味しくいただいた。
竹原くんは、師の師のエスコートをしたまま会場を回っている。
「義人のああゆうところ、頭が下がるよ。どこまで顔を広げるんだろうね。」
と、全く他人に興味のなさそうなセルジュが、しれっとシャンパンを飲みながら言った……おいおいおい。
「ちょっと、それ!」
一応注意するけど、馬耳東風。
セルジュは飲み干してしまってから給仕の男性にグラスを返した。
「はい、証拠隠滅。飲まなきゃやってられないよ。あきらけいこのchevalier(シュヴァリエ)なんて。」
……それはすみませんね。
セルジュにケーキを勧めてご機嫌を取ってると、おばさまがたが近づいてくる。
「あなた、お家元に着物をお借りしたの?」
いきなりのぶしつけな質問にどうお返事をしようか戸惑っていると、セルジュが一歩前に出て対峙した。
「失礼ですが、お名前をいただけますか?」
……口調は丁寧だけど、セルジュは貴公子然として威圧感たっぷりに上から目線でそう言った。
鼻白んだおばさま達は、口ごもって会釈して去って行った。
「セルジュすご~い!」
思わず拍手してそう言うと、セルジュは今のおばさん達に対する態度のまんま私を見た。
「あきらけいこ、隙ありすぎ。その紋付ける意味、わかってる?ただでさえ場違いで目立つのに。背筋伸ばしてしっかり立ってなよ。ケーキばかり食べてないで。」
「う……。はい……。」
セルジュに怒られてしまった。
壁際と真ん中に、色とりどりの美味しそうなお料理が並んでいる。
まだ誰も手をつけてないということは、乾杯のあと、ってことかな?
私は、キョロキョロとお料理を見渡し、ケーキのコーナーをチェックした。
家元と彩乃くんが会場に入ってくると、厳かに拍手が広がる。
司会者に紹介されて、お家元がマイクの前に立つ。
長年1人で流派を支えてきた女丈夫が、小さく見える。
……それほどまでに、一歩控えた彩乃くんの存在感は大きかった。
お家元は、彩乃くんの「芳澤綾之助」の襲名と副家元就任をここで正式に発表した。
そこではじめて、お家元のそばに立つ男性が、髪を切った彩乃くんだと気づいた人が多いらしい。
変などよめきが起こっていて、なんだかおもしろかった。
彩乃くんは、やっぱり別人のように、堂々とご挨拶をした。
凛々しい男ぶりに、女性陣は老いも若きも色めき立った。
お付き合いのあるらしい政治家の音頭で乾杯。
みなさんがお料理に群がるなか、1人でケーキとお紅茶をもらってくる。
「……いきなり、それ?」
呆れるセルジュに
「だって胸がいっぱいでお腹すいてへんねんもん。でもケーキは食べたい。」
と、開き直って、美味しくいただいた。
竹原くんは、師の師のエスコートをしたまま会場を回っている。
「義人のああゆうところ、頭が下がるよ。どこまで顔を広げるんだろうね。」
と、全く他人に興味のなさそうなセルジュが、しれっとシャンパンを飲みながら言った……おいおいおい。
「ちょっと、それ!」
一応注意するけど、馬耳東風。
セルジュは飲み干してしまってから給仕の男性にグラスを返した。
「はい、証拠隠滅。飲まなきゃやってられないよ。あきらけいこのchevalier(シュヴァリエ)なんて。」
……それはすみませんね。
セルジュにケーキを勧めてご機嫌を取ってると、おばさまがたが近づいてくる。
「あなた、お家元に着物をお借りしたの?」
いきなりのぶしつけな質問にどうお返事をしようか戸惑っていると、セルジュが一歩前に出て対峙した。
「失礼ですが、お名前をいただけますか?」
……口調は丁寧だけど、セルジュは貴公子然として威圧感たっぷりに上から目線でそう言った。
鼻白んだおばさま達は、口ごもって会釈して去って行った。
「セルジュすご~い!」
思わず拍手してそう言うと、セルジュは今のおばさん達に対する態度のまんま私を見た。
「あきらけいこ、隙ありすぎ。その紋付ける意味、わかってる?ただでさえ場違いで目立つのに。背筋伸ばしてしっかり立ってなよ。ケーキばかり食べてないで。」
「う……。はい……。」
セルジュに怒られてしまった。



