「な~、あき~。チーズケーキ食べようって~。花なんか、後でいいやん。な~。な~。」
「チーズケーキが後!てか、彩乃くんお衣装で寝転ばんとって!皺いく!汚れる!」
「転がって汚れるような適当な掃除してへんやろ。な~。」
彩乃くんと「付き合う」というか「許婚(いいなずけ)宣言されてから」というべきか……とにかく、あれから約1ヶ月が過ぎた。
こんなにも態度が変わるものだろうか、って呆れるくらい、彩乃くんは変わった。
何てゆーか……犬?
特に今現在のようにお家元の彩乃くんのお部屋で2人きりの時は、まるで小犬のように瞳を輝かせてちぎれんばかりに尻尾を振って、かまってかまって!と可愛いけれどもやかましく吠えてる。
どうやら子供の頃の続きみたいな気分になるらしい。
ちなみに、彩乃くん家(ち)では、ちょっと賢いあまったれな豆柴ぐらい。
外では、ちゃんと訓練されたお行儀のよい中型の猟犬。
そして、竹原くんやセルジュと一緒の時には睨みをきかした大型番犬みたいだ。
「せっかく、今が食べ頃やのに。ちゃんと、あきがこの部屋に来るタイミング計って冷蔵庫から出して準備しててんで。せやし、食べよ~。」
わんこのような彩乃くんにほだされそうになるけど、
「その計算の中に、ここの床の間もちゃんと入れといてーよ。あと5分!」
と、心を鬼にして、手早く花材を選ぶ。
11月に入ってから、私は芳澤流のお家元に通い出した。
毎週土曜の午後に、玄関、お稽古場、お座敷、お茶室、そしてお家元と彩乃くんのお部屋の床の間の6ヶ所にお花を活けに行く。
それぞれ違う花材を、違う花器に、違う活け方で。
やってみるとかなりハードで、やりがいがあり、ものすごく楽しかった。
特に秋の花材は大好きなので、手抜きはしたくない。
彩乃くんがゴロゴロ転がってるのを横目に、ニシキギをパキパキ折りながら、シュウメイギクと合わせてみた。
「地味~。もっと派手なんがいい~。」
また言われてしまった。
地味かな?
ニシキギ、綺麗に紅葉して、けっこう華やかやと思うけど。
これで3週めだけど、彩乃くんの好みの花材はなかなか入らないらしい。
「……彩乃くん、何の花が好きなん?次回、頼んでもらおうか?」
あまった花材を小さめに切ってまとめながらそう聞くと、彩乃くんは
「覚えてへん。」
と、そっぽを向いた。
「はい、お待たせでした。美味しそう。あ、お着物脱いだほうが……。」
彩乃くんは、明日の本番で着る衣装のまま、チーズケーキにかじりついた。
せめて、フォーク!
お皿!
あああああっ!
私は、持参してるタオルを彩乃くんの胸元にかけて、お着物をガードした。
「チーズケーキが後!てか、彩乃くんお衣装で寝転ばんとって!皺いく!汚れる!」
「転がって汚れるような適当な掃除してへんやろ。な~。」
彩乃くんと「付き合う」というか「許婚(いいなずけ)宣言されてから」というべきか……とにかく、あれから約1ヶ月が過ぎた。
こんなにも態度が変わるものだろうか、って呆れるくらい、彩乃くんは変わった。
何てゆーか……犬?
特に今現在のようにお家元の彩乃くんのお部屋で2人きりの時は、まるで小犬のように瞳を輝かせてちぎれんばかりに尻尾を振って、かまってかまって!と可愛いけれどもやかましく吠えてる。
どうやら子供の頃の続きみたいな気分になるらしい。
ちなみに、彩乃くん家(ち)では、ちょっと賢いあまったれな豆柴ぐらい。
外では、ちゃんと訓練されたお行儀のよい中型の猟犬。
そして、竹原くんやセルジュと一緒の時には睨みをきかした大型番犬みたいだ。
「せっかく、今が食べ頃やのに。ちゃんと、あきがこの部屋に来るタイミング計って冷蔵庫から出して準備しててんで。せやし、食べよ~。」
わんこのような彩乃くんにほだされそうになるけど、
「その計算の中に、ここの床の間もちゃんと入れといてーよ。あと5分!」
と、心を鬼にして、手早く花材を選ぶ。
11月に入ってから、私は芳澤流のお家元に通い出した。
毎週土曜の午後に、玄関、お稽古場、お座敷、お茶室、そしてお家元と彩乃くんのお部屋の床の間の6ヶ所にお花を活けに行く。
それぞれ違う花材を、違う花器に、違う活け方で。
やってみるとかなりハードで、やりがいがあり、ものすごく楽しかった。
特に秋の花材は大好きなので、手抜きはしたくない。
彩乃くんがゴロゴロ転がってるのを横目に、ニシキギをパキパキ折りながら、シュウメイギクと合わせてみた。
「地味~。もっと派手なんがいい~。」
また言われてしまった。
地味かな?
ニシキギ、綺麗に紅葉して、けっこう華やかやと思うけど。
これで3週めだけど、彩乃くんの好みの花材はなかなか入らないらしい。
「……彩乃くん、何の花が好きなん?次回、頼んでもらおうか?」
あまった花材を小さめに切ってまとめながらそう聞くと、彩乃くんは
「覚えてへん。」
と、そっぽを向いた。
「はい、お待たせでした。美味しそう。あ、お着物脱いだほうが……。」
彩乃くんは、明日の本番で着る衣装のまま、チーズケーキにかじりついた。
せめて、フォーク!
お皿!
あああああっ!
私は、持参してるタオルを彩乃くんの胸元にかけて、お着物をガードした。



