「まあ!覚えてはるん?あやのちゃん、喜ぶわ。あの子も明子ちゃんに逢うのん、楽しみにしてるえ。小さい頃は姉妹みたいに仲良ぉ遊んでたもんねえ。何回か明子ちゃんが手伝いに来ぃひんのか、私、聞かれたことあるんよ。でもお手伝いをお願いするなら、せめて高校生にならはってから、って思ってたん。」
あやのちゃん、私のこと、覚えてくれてはるんや!
すごくうれしい!
師の師の姉で、あやのちゃんのおばあちゃんは芳澤流という日本舞踊のお家元だ。
芳澤流は、元禄時代の有名な歌舞伎役者・芳澤あやめを始祖とする上方舞の流派だ。
上方歌舞伎の舞踊から始まっているので、現在でも華やかな舞台が似合う。
実の祖母と孫なのに、お家元はあやのちゃんにとても厳しくて……幼児心にもかわいそうなぐらいあやのちゃんは泣いてお稽古をしていたっけ。
「あやのさんも、名取試験を受けはるんですか?」
そう聞くと、師の師はパタパタと手を振った。
「あら、あやのちゃんはもうとっくに名取も師範も取ってはるえ。幹部として試験の採点に参加しはるんよ。もうすぐ『芳澤綾之助』を襲名して副家元になりはると思うわ。」
え!?
「副家元って!私と同い年やのに!?すごい!」
師の師は、ふふっと微笑んだ。
「まあ、あの子は特別やわ。一生懸命がんばってはったしね。て、明子ちゃんかて高校生で『師範』確定やで。充分すごいことえ。」
取って付けたようにそう仰ったけど、比較にもなるはずもなかった。
翌日は朝からバタバタ大変だった。
髪を簡単にアップして、振袖を着付けてもらう。
会は10時からだが、私は9時過ぎには到着した。
お花を少し手直しして、満足気に眺める。
花器は、竹の根付の二重切という上下にお花を活けられるものにした。
内側を黒漆で塗ってあるので、洗練されて見える。
上段にはツルウメモドキを「用流し」のお生花(せいか)で活けて、下段には白玉椿。
師の望み通り華やかで難しいし、私好みの品格もある。
私は携帯で撮影すると、彩乃くんに送信してみた。
……あれから特に進展はない……が、何となく幸せな気がする。
毎朝の電車は、相変わらず緊張感をぬぐえないが、笑顔で挨拶をすれば彩乃くんも穏やかに微笑んでくれることがわかった。
メールよりラインのほうが簡単に返信をくれそうなので、日々の出来事をTwitterのようにラインで伝えるようになった。
さすがにスタンプを駆使するような返信は皆無だが、一言でも返事をくれるのがうれしかった。
あやのちゃん、私のこと、覚えてくれてはるんや!
すごくうれしい!
師の師の姉で、あやのちゃんのおばあちゃんは芳澤流という日本舞踊のお家元だ。
芳澤流は、元禄時代の有名な歌舞伎役者・芳澤あやめを始祖とする上方舞の流派だ。
上方歌舞伎の舞踊から始まっているので、現在でも華やかな舞台が似合う。
実の祖母と孫なのに、お家元はあやのちゃんにとても厳しくて……幼児心にもかわいそうなぐらいあやのちゃんは泣いてお稽古をしていたっけ。
「あやのさんも、名取試験を受けはるんですか?」
そう聞くと、師の師はパタパタと手を振った。
「あら、あやのちゃんはもうとっくに名取も師範も取ってはるえ。幹部として試験の採点に参加しはるんよ。もうすぐ『芳澤綾之助』を襲名して副家元になりはると思うわ。」
え!?
「副家元って!私と同い年やのに!?すごい!」
師の師は、ふふっと微笑んだ。
「まあ、あの子は特別やわ。一生懸命がんばってはったしね。て、明子ちゃんかて高校生で『師範』確定やで。充分すごいことえ。」
取って付けたようにそう仰ったけど、比較にもなるはずもなかった。
翌日は朝からバタバタ大変だった。
髪を簡単にアップして、振袖を着付けてもらう。
会は10時からだが、私は9時過ぎには到着した。
お花を少し手直しして、満足気に眺める。
花器は、竹の根付の二重切という上下にお花を活けられるものにした。
内側を黒漆で塗ってあるので、洗練されて見える。
上段にはツルウメモドキを「用流し」のお生花(せいか)で活けて、下段には白玉椿。
師の望み通り華やかで難しいし、私好みの品格もある。
私は携帯で撮影すると、彩乃くんに送信してみた。
……あれから特に進展はない……が、何となく幸せな気がする。
毎朝の電車は、相変わらず緊張感をぬぐえないが、笑顔で挨拶をすれば彩乃くんも穏やかに微笑んでくれることがわかった。
メールよりラインのほうが簡単に返信をくれそうなので、日々の出来事をTwitterのようにラインで伝えるようになった。
さすがにスタンプを駆使するような返信は皆無だが、一言でも返事をくれるのがうれしかった。



