お茶室の入口で記帳をしていると、背後から
「むらかみ……あきらけいこ。」
と、私の書く文字を読み上げているらしい声がした。
いやいや。
「あきこ、です。」
そう言って振りかえると、明るい色の髪と、少し青みがかった不思議な目の色をした綺麗な人が立っていた。
「あ、天使。」
あのポスターに描かれていた最後の1人だと気付いて、思わずそう言ってしまった。
竹原くんが、ぷっと吹き出す。
「天使!こんなひねくれた天使、嫌すぎる~。絶対地獄に連れて行かれるわ。」
「うるさいよ、義人。せっかく、明子(あきらけいこ)が褒めてくれたのに。ねえ?ありがとう。」
天使は竹原くんに文句を言い、私にはそう言ってほほ笑んだ。
いや、あきらけいこ、じゃないし。
「あきらけいこ、って狐憑きの皇后ですよね?あ、どうぞ。」
私はそう言って、天使に筆ペンを渡して記帳を促した。
「見解の相違だね。僕は『絶世の美女』と捉えてるよ。」
そう言いながら、さらさらと記した名前は「松本聖樹」。
「松本、まさきくん?クリスマスツリー?」
横から覗きこんでそう言ってみる。
やっぱり天使っぽいかも。
「Serge(セルジュ)だよ。あきらけいこ。」
セルジュは天使のような笑顔でそう言った。
……どうしても「あきらけいこ」と呼びたいらしい。
この笑顔には逆らえないかも、と、私もつられてニコニコしてしまった。
松本、竹原、梅宮……で、松竹梅か、なるほど。
昨日会長の彼氏さんがそんなことを言ってたなあ、とぼんやり思い出しながら、私はお茶席の真ん中ぐらいに座った。
ちょうど、お点前が始まるタイミングで入れた。
可愛い小紋を身に着けた茶道部員がお運びしてくれた生菓子は、とっても美味しいのに無料!
幸せ~と、しみじみ味わってると、襖の向こうが少し賑やかになった。
「無粋なやつらが来てしもたわ。」
「誰?下品な嬌声。」
「家元の次男坊と夜の遊び仲間。」
「それはご愁傷様。」
私を真ん中に挟んで、竹原くんとセルジュがそう会話する。
「あきちゃん、残念。せっかくの和敬清寂が台無しになるわ。」
竹原くんが私にそう言った時、襖が音を立てずに開いた。
正座してきっちりお辞儀をして、和室ににじり入ってきて、再び居まいを正してお辞儀……美しい所作で入ってきた男性。
この人が家元の次男坊?
それって、遥香の二太郎くん?
……あれ?
じゃ、竹原くんも、遥香の遊び仲間?
そう思い至ったちょうどその時に、当の遥香が5~6人の男女と共に立ったまま和室に入ってきた。
ああ、そんな短いスカートとタイツ……靴下もはいてないのにお茶室に入ってくるなんて。
しかも、その爪!その指輪!そのアクセサリー全部取れ!
お茶碗が傷ついたらどうするんよ!
「むらかみ……あきらけいこ。」
と、私の書く文字を読み上げているらしい声がした。
いやいや。
「あきこ、です。」
そう言って振りかえると、明るい色の髪と、少し青みがかった不思議な目の色をした綺麗な人が立っていた。
「あ、天使。」
あのポスターに描かれていた最後の1人だと気付いて、思わずそう言ってしまった。
竹原くんが、ぷっと吹き出す。
「天使!こんなひねくれた天使、嫌すぎる~。絶対地獄に連れて行かれるわ。」
「うるさいよ、義人。せっかく、明子(あきらけいこ)が褒めてくれたのに。ねえ?ありがとう。」
天使は竹原くんに文句を言い、私にはそう言ってほほ笑んだ。
いや、あきらけいこ、じゃないし。
「あきらけいこ、って狐憑きの皇后ですよね?あ、どうぞ。」
私はそう言って、天使に筆ペンを渡して記帳を促した。
「見解の相違だね。僕は『絶世の美女』と捉えてるよ。」
そう言いながら、さらさらと記した名前は「松本聖樹」。
「松本、まさきくん?クリスマスツリー?」
横から覗きこんでそう言ってみる。
やっぱり天使っぽいかも。
「Serge(セルジュ)だよ。あきらけいこ。」
セルジュは天使のような笑顔でそう言った。
……どうしても「あきらけいこ」と呼びたいらしい。
この笑顔には逆らえないかも、と、私もつられてニコニコしてしまった。
松本、竹原、梅宮……で、松竹梅か、なるほど。
昨日会長の彼氏さんがそんなことを言ってたなあ、とぼんやり思い出しながら、私はお茶席の真ん中ぐらいに座った。
ちょうど、お点前が始まるタイミングで入れた。
可愛い小紋を身に着けた茶道部員がお運びしてくれた生菓子は、とっても美味しいのに無料!
幸せ~と、しみじみ味わってると、襖の向こうが少し賑やかになった。
「無粋なやつらが来てしもたわ。」
「誰?下品な嬌声。」
「家元の次男坊と夜の遊び仲間。」
「それはご愁傷様。」
私を真ん中に挟んで、竹原くんとセルジュがそう会話する。
「あきちゃん、残念。せっかくの和敬清寂が台無しになるわ。」
竹原くんが私にそう言った時、襖が音を立てずに開いた。
正座してきっちりお辞儀をして、和室ににじり入ってきて、再び居まいを正してお辞儀……美しい所作で入ってきた男性。
この人が家元の次男坊?
それって、遥香の二太郎くん?
……あれ?
じゃ、竹原くんも、遥香の遊び仲間?
そう思い至ったちょうどその時に、当の遥香が5~6人の男女と共に立ったまま和室に入ってきた。
ああ、そんな短いスカートとタイツ……靴下もはいてないのにお茶室に入ってくるなんて。
しかも、その爪!その指輪!そのアクセサリー全部取れ!
お茶碗が傷ついたらどうするんよ!



