……私は、思わず口を押さえた。
高校生の時、合同コーラスで歌った『アメイジング・グレイス』。
私はその作詞者が奴隷貿易従事者だった背景を知って、うさんくさい曲と苦手だった。
上垣さん、遙香から聞いてたのかな……。
「私は、人と人との関わりでも、同じだと思っております。まずは相手を認めて許す。何よりもそれが一番最初なのです。それから、相手の言動を受け取る。これが逆だと小さな亀裂や誤解が生じることも多いものです。結婚という儀式を経て家族になるとは言え、夫婦も、舅姑も、やはり他人。だからこそ、意識して、まず相手の全てを受け入れて認めてください。あなた自身やあなたの血の繋がった家族、気が置けない親友や恋人と同じように。そうすれば、言動の波や棘にイチイチ目くじらを立てることもなく、相手に何があってそういった言動につながったかに心を砕くことができるでしょう?」
上垣さんの微笑みは、確かに、全てを許してくれているように感じられて、私は操られたようにうなずいていた。
てゆーか、会場中が真剣に聞き入ってうなずいているのが見えた。
……遙香は……上垣さんこういうところに救われているのだろうか。
はじめて逢った時「射殺された」って言ってたけど……
壇上から振袖を着た遙香を見ると、目をハートマークにして上垣さんに見とれている。
かわいいなあ、もう。
上垣さんが合掌して「南無阿弥陀仏」を何度か唱えて降りられると、私はもう一度、彩乃くんのお義母さまのところに行き、跪いて、少し下からお母さまのお顔を見上げて言った。
「……お義母さま……淋しい想い……悲しい想いをさせてしまって……ごめんなさい。お義母さまのお優しさに甘えて、今日の今日まで、お義母さまの悲しさに気づきもしませんでした。」
そこまで言ってから、お義母さまの耳元に口を近づけて小声で続けた。
「誰にイケズ言われはったんですか?後日、敵討(かたきう)ちするんで教えてください。」
お義母さまは、涙をピタッと止めて、マジマジと私をご覧になった。
すぐ横にいたので聞こえていたらしく、彩乃くんが吹き出して笑った。
つられて、お義母さまも、首をかしげるように私に微笑まれた。
「……明子さん、せっかくお坊さまがイイお話をされたのに……私たちって俗人なのねえ……名前はわからないから、座席表に○(まる)してくわね。」
……うわ~、彩乃くんが毛嫌いしてる、年嵩の幹部の先生がたばっかり。
さすが親子!
高校生の時、合同コーラスで歌った『アメイジング・グレイス』。
私はその作詞者が奴隷貿易従事者だった背景を知って、うさんくさい曲と苦手だった。
上垣さん、遙香から聞いてたのかな……。
「私は、人と人との関わりでも、同じだと思っております。まずは相手を認めて許す。何よりもそれが一番最初なのです。それから、相手の言動を受け取る。これが逆だと小さな亀裂や誤解が生じることも多いものです。結婚という儀式を経て家族になるとは言え、夫婦も、舅姑も、やはり他人。だからこそ、意識して、まず相手の全てを受け入れて認めてください。あなた自身やあなたの血の繋がった家族、気が置けない親友や恋人と同じように。そうすれば、言動の波や棘にイチイチ目くじらを立てることもなく、相手に何があってそういった言動につながったかに心を砕くことができるでしょう?」
上垣さんの微笑みは、確かに、全てを許してくれているように感じられて、私は操られたようにうなずいていた。
てゆーか、会場中が真剣に聞き入ってうなずいているのが見えた。
……遙香は……上垣さんこういうところに救われているのだろうか。
はじめて逢った時「射殺された」って言ってたけど……
壇上から振袖を着た遙香を見ると、目をハートマークにして上垣さんに見とれている。
かわいいなあ、もう。
上垣さんが合掌して「南無阿弥陀仏」を何度か唱えて降りられると、私はもう一度、彩乃くんのお義母さまのところに行き、跪いて、少し下からお母さまのお顔を見上げて言った。
「……お義母さま……淋しい想い……悲しい想いをさせてしまって……ごめんなさい。お義母さまのお優しさに甘えて、今日の今日まで、お義母さまの悲しさに気づきもしませんでした。」
そこまで言ってから、お義母さまの耳元に口を近づけて小声で続けた。
「誰にイケズ言われはったんですか?後日、敵討(かたきう)ちするんで教えてください。」
お義母さまは、涙をピタッと止めて、マジマジと私をご覧になった。
すぐ横にいたので聞こえていたらしく、彩乃くんが吹き出して笑った。
つられて、お義母さまも、首をかしげるように私に微笑まれた。
「……明子さん、せっかくお坊さまがイイお話をされたのに……私たちって俗人なのねえ……名前はわからないから、座席表に○(まる)してくわね。」
……うわ~、彩乃くんが毛嫌いしてる、年嵩の幹部の先生がたばっかり。
さすが親子!



