「秘書検定ね、過去問やり始めて、すぐ挫折した。あれじゃ、オヤジらを増長させるだけやわ、って、馬鹿馬鹿しくなってしもて。『女大学』みたい。時代錯誤やわ。」
相変わらず、腸を伸ばす格好のまま文句を言った。
眉をひそめてセルジュが呆れた。
「だって、偉そうなオヤジが気持ちよく仕事できるようにサポートするのが秘書の役目じゃない。根本的にあきらけいこ、勘違いしてない?」
うっ、と詰まる。
「例えばあきちゃんは、上司が間違ったことを発言したら、その場で訂正するんちゃうか?それとか、上司の勘違いで叱責されたら事情を説明せえへん?」
当たり前やん!
……と言いたいけど、秘書検定でそれでは不合格。
わかってるけど、納得いかない。
「間違いを間違いて指摘して何が悪いん。誰かが言わな、裸の王様やん。」
私がそう言うと、義人くんは肩をすくめた。
「それじゃ、いつまでたっても、芳澤流の先生方にかわいがってもらえないよ。」
……ぐうの音も出ない。
「別に裸の王様にはならないだろ。人前では立てて、後から指摘すれば。あきらけいこはプライドが高いんだよ。」
セルジュにそう言われて、ますますしゅんとした。
腸をのばそうと、後方に伸ばした両手に体重をかけ続けていることにも疲れた。
私は仰向けに寝転がって、涙があふれないように目をシパシパさせた。
義人くんがすぐそばに腰をおろすと、口調をやわらげて言った。
「あきちゃんが、すごーくがんばってることはみんなわかってるで。でも、出る杭は打たれるんはどこも一緒やろ。特に、こういう旧態依然とした世界やからなあ。古くさくても『女大学』でいたほうが受けもいいし、賢いんちゃうか?」
納得いかない。
いかないけど、認めざるを得ない。
今のこの手詰まりな気分を打破するには、考え方を変える必要がありそうだ。
「第一、彩乃がわがままで自己中心的で、何も考えずに周囲を振り回すのは、今に始まったことじゃなし、みんなご存じやん。……むしろ、芳澤流の人らがそう育てたんやろ。彩乃には絶対君主でいてほしいんやと思うわ。」
義人くんの言う通りだと思う。
「せやから、あきちゃんは目立ったらあかんねん。できるところを見せたら、それだけで反感買うねん。気ぃ利かせても、それをあきちゃんが見せたらあかんねん。彩乃に華を持たせんと。……もちろん彩乃にそんなことできるわけないねんし、あきちゃんの差配ってどうせバレバレなんやけどな、そうすることではじめてあきちゃんの株が上がると思うで?」
セルジュがどこからかもらってきたらしい温かいお茶をくれた。
「お茶、美味しいよ。あったまるといいよ。」
起き上がろうとすると、義人くんが手を引いて起こしてくれた。
相変わらず、腸を伸ばす格好のまま文句を言った。
眉をひそめてセルジュが呆れた。
「だって、偉そうなオヤジが気持ちよく仕事できるようにサポートするのが秘書の役目じゃない。根本的にあきらけいこ、勘違いしてない?」
うっ、と詰まる。
「例えばあきちゃんは、上司が間違ったことを発言したら、その場で訂正するんちゃうか?それとか、上司の勘違いで叱責されたら事情を説明せえへん?」
当たり前やん!
……と言いたいけど、秘書検定でそれでは不合格。
わかってるけど、納得いかない。
「間違いを間違いて指摘して何が悪いん。誰かが言わな、裸の王様やん。」
私がそう言うと、義人くんは肩をすくめた。
「それじゃ、いつまでたっても、芳澤流の先生方にかわいがってもらえないよ。」
……ぐうの音も出ない。
「別に裸の王様にはならないだろ。人前では立てて、後から指摘すれば。あきらけいこはプライドが高いんだよ。」
セルジュにそう言われて、ますますしゅんとした。
腸をのばそうと、後方に伸ばした両手に体重をかけ続けていることにも疲れた。
私は仰向けに寝転がって、涙があふれないように目をシパシパさせた。
義人くんがすぐそばに腰をおろすと、口調をやわらげて言った。
「あきちゃんが、すごーくがんばってることはみんなわかってるで。でも、出る杭は打たれるんはどこも一緒やろ。特に、こういう旧態依然とした世界やからなあ。古くさくても『女大学』でいたほうが受けもいいし、賢いんちゃうか?」
納得いかない。
いかないけど、認めざるを得ない。
今のこの手詰まりな気分を打破するには、考え方を変える必要がありそうだ。
「第一、彩乃がわがままで自己中心的で、何も考えずに周囲を振り回すのは、今に始まったことじゃなし、みんなご存じやん。……むしろ、芳澤流の人らがそう育てたんやろ。彩乃には絶対君主でいてほしいんやと思うわ。」
義人くんの言う通りだと思う。
「せやから、あきちゃんは目立ったらあかんねん。できるところを見せたら、それだけで反感買うねん。気ぃ利かせても、それをあきちゃんが見せたらあかんねん。彩乃に華を持たせんと。……もちろん彩乃にそんなことできるわけないねんし、あきちゃんの差配ってどうせバレバレなんやけどな、そうすることではじめてあきちゃんの株が上がると思うで?」
セルジュがどこからかもらってきたらしい温かいお茶をくれた。
「お茶、美味しいよ。あったまるといいよ。」
起き上がろうとすると、義人くんが手を引いて起こしてくれた。



