昼下がりに彩乃くんがお家元にやってきた。
彩乃くんはお家元にご挨拶とご報告をしたあと自分の部屋に私を連れ込み、嵐のように翻弄した。
今夜は義人くん家に泊まるらしい。
彼らは、4月までの残り少ない日々を惜しむように一緒にいるのかな。
3月10日。
彩乃くんたちの高校の卒業式。
前もって義人くんから「気を遣って花とか持ってこなくていい」と言われてたけど……実際に来てみてその意味がよくわかった。
既に両手に持ちきれず、お取り巻きの女の子たちが手伝って持ってあげるほど大量に花や紙袋に入ったプレゼントをもらっていた。
特に義人くんはすごい量。
「あ、あきちゃーん。俺も合格したわ。」
スーツを着た義人くんがニコニコと手を振った。
さすが!
義人くんは今日、超難関大学に見事一発合格したらしい。
……たった一年間の受験勉強で本当に合格するのか心配もしたけど、そもそも偏差値の高いこちらの学園の生徒……本腰入れたら何でもできるんだなあ。
とりあえず、これで3人の進路は決まった。
セルジュは神戸、義人くんは京都、そして彩乃くんは大阪。
おめでたいことなのに、淋しい。
「おめでとう。3人とも、本当におめでとう。それから、今まで、優しくしてくれて、ありがとう。」
言ってるうちに、私の目に涙がこみあげた。
白い裾の長い、ちょっと変わった洒落たデザインのスーツのセルジュがからかう。
「今まで?もう僕らと手が切れると思ってるの?甘いな。」
義人くんに促されて、紋付き羽織袴の彩乃くんが懐(ふところ)から手ぬぐいを出して、私の涙を拭いて、言った。
「義人を俺の後援会長にしたんは、あきやで。こいつら、生涯、俺から離れよらへんわ。泣かんでもいつでも会えるから。」
「俺が父の会社をつぶして夜逃げせなあかんくなったら、芳澤流で雇ってな。」
義人くんは、茶目っ気たっぷりにそう言った。
「僕は一生、高等遊民だから、いつでも遊びに行くよ。」
セルジュは、そう言って優雅に微笑んだ。
……3人とも、突っ込みどころ満載。
でも……温かい気持ちが……愛しい。
大好き。
「これからも、彩乃くんともども、お願いします。」
私は涙を振り払って、深々とお辞儀をした。
大学生活が始まると、思ってた以上に忙しくなった。
国文学科では教職・図書館司書・学芸員資格・情報処理士の資格も取れるが、お家元のお手伝いになるべく時間を費やしたい私は、どれも選択しなかった。
あ……義人くんに勧められた秘書検定は受けてみる予定。
2級は簡単そうなので、とりあえずは準1級を目指す。
彩乃くんはお家元にご挨拶とご報告をしたあと自分の部屋に私を連れ込み、嵐のように翻弄した。
今夜は義人くん家に泊まるらしい。
彼らは、4月までの残り少ない日々を惜しむように一緒にいるのかな。
3月10日。
彩乃くんたちの高校の卒業式。
前もって義人くんから「気を遣って花とか持ってこなくていい」と言われてたけど……実際に来てみてその意味がよくわかった。
既に両手に持ちきれず、お取り巻きの女の子たちが手伝って持ってあげるほど大量に花や紙袋に入ったプレゼントをもらっていた。
特に義人くんはすごい量。
「あ、あきちゃーん。俺も合格したわ。」
スーツを着た義人くんがニコニコと手を振った。
さすが!
義人くんは今日、超難関大学に見事一発合格したらしい。
……たった一年間の受験勉強で本当に合格するのか心配もしたけど、そもそも偏差値の高いこちらの学園の生徒……本腰入れたら何でもできるんだなあ。
とりあえず、これで3人の進路は決まった。
セルジュは神戸、義人くんは京都、そして彩乃くんは大阪。
おめでたいことなのに、淋しい。
「おめでとう。3人とも、本当におめでとう。それから、今まで、優しくしてくれて、ありがとう。」
言ってるうちに、私の目に涙がこみあげた。
白い裾の長い、ちょっと変わった洒落たデザインのスーツのセルジュがからかう。
「今まで?もう僕らと手が切れると思ってるの?甘いな。」
義人くんに促されて、紋付き羽織袴の彩乃くんが懐(ふところ)から手ぬぐいを出して、私の涙を拭いて、言った。
「義人を俺の後援会長にしたんは、あきやで。こいつら、生涯、俺から離れよらへんわ。泣かんでもいつでも会えるから。」
「俺が父の会社をつぶして夜逃げせなあかんくなったら、芳澤流で雇ってな。」
義人くんは、茶目っ気たっぷりにそう言った。
「僕は一生、高等遊民だから、いつでも遊びに行くよ。」
セルジュは、そう言って優雅に微笑んだ。
……3人とも、突っ込みどころ満載。
でも……温かい気持ちが……愛しい。
大好き。
「これからも、彩乃くんともども、お願いします。」
私は涙を振り払って、深々とお辞儀をした。
大学生活が始まると、思ってた以上に忙しくなった。
国文学科では教職・図書館司書・学芸員資格・情報処理士の資格も取れるが、お家元のお手伝いになるべく時間を費やしたい私は、どれも選択しなかった。
あ……義人くんに勧められた秘書検定は受けてみる予定。
2級は簡単そうなので、とりあえずは準1級を目指す。



