『義人、車出して。あき、迎えに行くねん。』
『ほら!やっぱり彩乃、お家元に行ったほうがよかったんやん!あ~、もう!電話!もしもし?あきちゃん?そっち、どんな感じ?社中さん、彩乃待ち?』
さすが義人くん……事情を察するの、早い。
「うん、そうねん。ごめんね、迷惑かけて。そこの『あほぼん』にポカリたらふく飲ませて連れてきてもろていいかな?」
『……わかったけど……感心せんな、それは。あきちゃん、彩乃の悪い言葉遣いに感化されたらあかんって。』
また怒られちゃった……しょんぼり。
「ごめんなさい。こっち大変やのに彩乃くんが極楽とんぼでイラッとしました。反省してます……。」
『……じゃあね、40分ぐらいで行けるかな。待っててもらって。』
「ありがとう。よろしくお願いします。」
電話を切って、ため息をついた。
「副家元、どうって?」
様子を聞きに来たお家元に、無理矢理笑顔を作って向けた。
「あと40分で到着です。みなさん待ってくださいますかねえ?」
お家元はホッとしたらしく、私と違って心からの微笑をくださった。
「ありがとう。大丈夫よ。もう2次会みたいに盛り上がってるから。」
……それは、よかった……?
「新年、おめでとうございます。芳澤綾之助でございます。本日は、新年会に出席できず、皆様をお待たせいたしまして、申し訳ありませんでした。」
彩乃くんは、見慣れない着物で現れると、そうご挨拶をした。
「彩乃、これ。」
義人くんが彩乃くんにマスクを渡すと、彩乃くんは黙って装着した。
マスクをして、先生方と個別に会話をして回る彩乃くん。
「……風邪ってことにしておいたほうがいいだろ?アルコール臭いより。」
義人くんが私のところにやってきてそう耳打ちした。
「ありがとう。着物も、義人くんのでしょ?」
「いや、あれ、俺の父のん。」
義人くんのお父さんということは、旧態依然とした京都の経済界で立身出世を果した人物。
……そりゃ、ええ着物やわ。
「彩乃には少し『ゆき』が短いかもしれへんけど、まあ許容範囲やろ。香(こう)でアルコール臭もマシやろし。」
「……どこまでも、ありがとう。」
「彩乃の後援会会長やから、俺。」
義人くんはそう言って、私にウインクした。
3学期の授業は、授業と言えたものではなかった。
私たち内部進学や、外の大学に行くものでも指定校推薦の決まったものが大半という教室で、まだこれから受験する生徒は特別待遇。
授業や行事で彼女たちを煩わせないようにと、みんなで気遣う。
特に、2月の学期末試験が終わると、行事以外は自主登校となる。
奈津菜は1年間、優秀な家庭教師についていたが、学校では問題集を開くこともなく、普通に登校して過ごしていた。
「二次試験の前に、バレンタイン!私という人物を一生忘れられないようなプレゼントを贈りたいねん。どうしたらいいと思う?」
……いや、普通じゃないか。
『ほら!やっぱり彩乃、お家元に行ったほうがよかったんやん!あ~、もう!電話!もしもし?あきちゃん?そっち、どんな感じ?社中さん、彩乃待ち?』
さすが義人くん……事情を察するの、早い。
「うん、そうねん。ごめんね、迷惑かけて。そこの『あほぼん』にポカリたらふく飲ませて連れてきてもろていいかな?」
『……わかったけど……感心せんな、それは。あきちゃん、彩乃の悪い言葉遣いに感化されたらあかんって。』
また怒られちゃった……しょんぼり。
「ごめんなさい。こっち大変やのに彩乃くんが極楽とんぼでイラッとしました。反省してます……。」
『……じゃあね、40分ぐらいで行けるかな。待っててもらって。』
「ありがとう。よろしくお願いします。」
電話を切って、ため息をついた。
「副家元、どうって?」
様子を聞きに来たお家元に、無理矢理笑顔を作って向けた。
「あと40分で到着です。みなさん待ってくださいますかねえ?」
お家元はホッとしたらしく、私と違って心からの微笑をくださった。
「ありがとう。大丈夫よ。もう2次会みたいに盛り上がってるから。」
……それは、よかった……?
「新年、おめでとうございます。芳澤綾之助でございます。本日は、新年会に出席できず、皆様をお待たせいたしまして、申し訳ありませんでした。」
彩乃くんは、見慣れない着物で現れると、そうご挨拶をした。
「彩乃、これ。」
義人くんが彩乃くんにマスクを渡すと、彩乃くんは黙って装着した。
マスクをして、先生方と個別に会話をして回る彩乃くん。
「……風邪ってことにしておいたほうがいいだろ?アルコール臭いより。」
義人くんが私のところにやってきてそう耳打ちした。
「ありがとう。着物も、義人くんのでしょ?」
「いや、あれ、俺の父のん。」
義人くんのお父さんということは、旧態依然とした京都の経済界で立身出世を果した人物。
……そりゃ、ええ着物やわ。
「彩乃には少し『ゆき』が短いかもしれへんけど、まあ許容範囲やろ。香(こう)でアルコール臭もマシやろし。」
「……どこまでも、ありがとう。」
「彩乃の後援会会長やから、俺。」
義人くんはそう言って、私にウインクした。
3学期の授業は、授業と言えたものではなかった。
私たち内部進学や、外の大学に行くものでも指定校推薦の決まったものが大半という教室で、まだこれから受験する生徒は特別待遇。
授業や行事で彼女たちを煩わせないようにと、みんなで気遣う。
特に、2月の学期末試験が終わると、行事以外は自主登校となる。
奈津菜は1年間、優秀な家庭教師についていたが、学校では問題集を開くこともなく、普通に登校して過ごしていた。
「二次試験の前に、バレンタイン!私という人物を一生忘れられないようなプレゼントを贈りたいねん。どうしたらいいと思う?」
……いや、普通じゃないか。



