「上垣さんは、何か武道でもやってらしたんですか?」
弛緩したお坊さんの多いなか、独り、ピンッと背筋の一本通った上垣さんはけっこう異様だ。
他のお坊さんからは感じないストイックさもおもしろい。
「わかりますか?少林寺拳法をやっておりました。」
8つも年下の私にも敬語を崩さない上垣さん。
「……お好きだったんですか?……チャウ・シンチー?ジャッキー・チェン?ジェット・リー?」
そう聞くと、上垣さんはふっと笑われた。
「女性なのにお詳しそうですね。私は、リー・リン・チェイとフー・チェン・チャンに憧れました。中国の大会でお会いして握手したこともあるんですよ。」
……ふーちぇん……?……わからん。
映画を見た程度で、全然詳しくなんかないんだけど。
「あきちゃん、ずるい!上垣さんと何、盛り上がってるん?私もまぜて~。」
遥香がシャンパンを持って突進してきた。
「川村遥香くん。君はまだ未成年だろう。」
上垣さんがそう言って、遥香からシャンパンを取り上げた。
えらい!と拍手を送りたくなる真面目さ。
……てか、遥香には敬語じゃないんや。
ちょっとは慣れてはるんかな。
上垣さんは遥香から奪ったシャンパンをクイッと一息にあおった。
喉仏(のどぼとけ)の動きに男性を感じる。
彼と出会った時に遥香が言ってた意味がやっと最近わかってきた。
上垣さんは、確かに、男くさ~い色気があるような気がする。
腕の筋肉とか、首筋とか……他の男性職員さんによると腹筋も割れているらしい……。
遥香と同じシャンパンを持っていた燈子ちゃんが慌ててジュースと取り替えて、こっちへ来た。
「上垣さんは、お正月もご実家に帰らはらへんのですか?」
……墓所はお正月ももちろん開店営業中だが、職員もバイトも交替で休みを取る。
まあ、私たちはそのための補充のバイトなのだが。
「帰ると色々面倒が多いので、京都に居ようと思っています。」
上垣さんのご実家は金沢のそこそこ有名なお寺らしい。
「金沢、いいですね。今度旅行しようかと思ってるんですけど……」
「彩乃くんと!?彼の受験が終わったら!?」
これみよがしに、遥香がそう強調した。
どうやら、上垣さんに、私には一緒に旅行する彼氏がいるということをアピールしたいらしい。
……心配せんでも、上垣さんは、私や燈子ちゃんには儀礼的なだけで、遥香には打ち解けつつあると思うんだけどね。
「うん。金沢なら遠すぎひんし、雰囲気よさそうやからいいかな、って。」
上垣さんはやわらかく微笑んで仰った。
「ご旅行でしたら、金沢には観光に来られて、宿泊は周辺の温泉地をお勧めしますよ。少し足をのばせば加賀温泉郷や和倉温泉もありますし。」
「なるほど、足が必要ですね……。」
弛緩したお坊さんの多いなか、独り、ピンッと背筋の一本通った上垣さんはけっこう異様だ。
他のお坊さんからは感じないストイックさもおもしろい。
「わかりますか?少林寺拳法をやっておりました。」
8つも年下の私にも敬語を崩さない上垣さん。
「……お好きだったんですか?……チャウ・シンチー?ジャッキー・チェン?ジェット・リー?」
そう聞くと、上垣さんはふっと笑われた。
「女性なのにお詳しそうですね。私は、リー・リン・チェイとフー・チェン・チャンに憧れました。中国の大会でお会いして握手したこともあるんですよ。」
……ふーちぇん……?……わからん。
映画を見た程度で、全然詳しくなんかないんだけど。
「あきちゃん、ずるい!上垣さんと何、盛り上がってるん?私もまぜて~。」
遥香がシャンパンを持って突進してきた。
「川村遥香くん。君はまだ未成年だろう。」
上垣さんがそう言って、遥香からシャンパンを取り上げた。
えらい!と拍手を送りたくなる真面目さ。
……てか、遥香には敬語じゃないんや。
ちょっとは慣れてはるんかな。
上垣さんは遥香から奪ったシャンパンをクイッと一息にあおった。
喉仏(のどぼとけ)の動きに男性を感じる。
彼と出会った時に遥香が言ってた意味がやっと最近わかってきた。
上垣さんは、確かに、男くさ~い色気があるような気がする。
腕の筋肉とか、首筋とか……他の男性職員さんによると腹筋も割れているらしい……。
遥香と同じシャンパンを持っていた燈子ちゃんが慌ててジュースと取り替えて、こっちへ来た。
「上垣さんは、お正月もご実家に帰らはらへんのですか?」
……墓所はお正月ももちろん開店営業中だが、職員もバイトも交替で休みを取る。
まあ、私たちはそのための補充のバイトなのだが。
「帰ると色々面倒が多いので、京都に居ようと思っています。」
上垣さんのご実家は金沢のそこそこ有名なお寺らしい。
「金沢、いいですね。今度旅行しようかと思ってるんですけど……」
「彩乃くんと!?彼の受験が終わったら!?」
これみよがしに、遥香がそう強調した。
どうやら、上垣さんに、私には一緒に旅行する彼氏がいるということをアピールしたいらしい。
……心配せんでも、上垣さんは、私や燈子ちゃんには儀礼的なだけで、遥香には打ち解けつつあると思うんだけどね。
「うん。金沢なら遠すぎひんし、雰囲気よさそうやからいいかな、って。」
上垣さんはやわらかく微笑んで仰った。
「ご旅行でしたら、金沢には観光に来られて、宿泊は周辺の温泉地をお勧めしますよ。少し足をのばせば加賀温泉郷や和倉温泉もありますし。」
「なるほど、足が必要ですね……。」



