「まあ、やっとまともに男に興味持てたんなら、それはそれでめでたいけど。連絡先、聞いた?」
燈子ちゃんにそう聞かれて、私は頭が真っ白になった。
「……まさか、あきちゃん?これ、無記名やし個人情報全くわからんよ?」
黙って立ち尽くしてる私に、奈津菜がアンケート用紙を指差して言った。
そう。
彼はけっこう丁寧に、造作物や舞台の出来、盛況ぶりを褒めてくれているが、自分のことについては何も記載されてなかった。
……だってそんな欄、最初から設けてないし。
しまった。
「迂闊やった……。頑張ったのに……。どこの誰かもわからん。」
愕然とする私の、左肩に燈子ちゃん、右肩に奈津菜が優しく手を置いて慰めてくれた。
「ま、あきちゃんらしいよ、一生懸命なのに抜けてるところが。」
「あきちゃん、大胆やけど詰めが甘いよね~。」
私は、
「ふんぬっ!!」
と、気を吐きながら両肩をぐるりと大きく回して2人の手を跳ね除けた。
「いいの!とりあえず男と確認できたし、今日はそれでいいの!はい、私のまともな初恋認定!おめでとう、私!乾杯!」
私はやけくそのように、そう言って既に空になった缶を天に捧げた。
燈子ちゃんがクラブの打ち上げに行くタイミングで、私も一緒に教室を出た。
恐る恐る生徒会室へ行くと、こちらも既に宴会モードだった。
生徒会の役員だけでなく文化祭の運営委員会の面々もいたので、お咎めもなく列席できた。
が!
いつものメンバーだけになったとたん
「あ~き~。受付の片づけ放り出して、男追いかけたって、マジ?」
ニヤニヤ笑いながら副会長が聞いてきた。
「……すみませんでした。」
みんなに頭を下げてそう言うと、会長が手を振った。
「いいのいいの。無事終わったんやし。それより、どこのどなた?お相手は。」
私は、ここでもうまく答えられなかった。
突撃したくせに、彼のことがわからないまま逃げてしまったと言うと、先輩がたに大笑いされて、茶化され、慰められた。
「ま、それはそれとして、明日はアンケートの集計、よろしくね。あきちゃんの係に決定。」
議長にそう言われて、私は仕方なくうなずいた。
当分、逆らえない気がする……。
翌日は、お昼過ぎに登校した。
お彼岸の連休も終わり、道もすいてるし、風も多少は凉しく感じた。
生徒会室にはまだ会長しか来てなかった。
「先に始めてようか。」
そう促され、私はアンケート用紙の束を積み上げ、書記用ノートパソコンでエクセルに入力し始めた。
「……あれ?」
無心に指を動かしていたが、ふと引っかかりを覚えて、手を止めた。
この字、この言葉づかい、内容……見覚えがある……。
「あれぇっ!?」
「あき、うるさいっ。」
いつの間に来たのか、副会長にそう言われて、私は身をすくめた。
黙って、生徒手帳を取り出し、小さく折った紙を開く。
……昨日、彼に目の前で書いてもらったアンケート用紙を私はちゃっかり隠匿したのだが、ほぼ同じモノがアンケートの束の中にあったのだ。
どいうこと?
2枚を並べて確認する。
燈子ちゃんにそう聞かれて、私は頭が真っ白になった。
「……まさか、あきちゃん?これ、無記名やし個人情報全くわからんよ?」
黙って立ち尽くしてる私に、奈津菜がアンケート用紙を指差して言った。
そう。
彼はけっこう丁寧に、造作物や舞台の出来、盛況ぶりを褒めてくれているが、自分のことについては何も記載されてなかった。
……だってそんな欄、最初から設けてないし。
しまった。
「迂闊やった……。頑張ったのに……。どこの誰かもわからん。」
愕然とする私の、左肩に燈子ちゃん、右肩に奈津菜が優しく手を置いて慰めてくれた。
「ま、あきちゃんらしいよ、一生懸命なのに抜けてるところが。」
「あきちゃん、大胆やけど詰めが甘いよね~。」
私は、
「ふんぬっ!!」
と、気を吐きながら両肩をぐるりと大きく回して2人の手を跳ね除けた。
「いいの!とりあえず男と確認できたし、今日はそれでいいの!はい、私のまともな初恋認定!おめでとう、私!乾杯!」
私はやけくそのように、そう言って既に空になった缶を天に捧げた。
燈子ちゃんがクラブの打ち上げに行くタイミングで、私も一緒に教室を出た。
恐る恐る生徒会室へ行くと、こちらも既に宴会モードだった。
生徒会の役員だけでなく文化祭の運営委員会の面々もいたので、お咎めもなく列席できた。
が!
いつものメンバーだけになったとたん
「あ~き~。受付の片づけ放り出して、男追いかけたって、マジ?」
ニヤニヤ笑いながら副会長が聞いてきた。
「……すみませんでした。」
みんなに頭を下げてそう言うと、会長が手を振った。
「いいのいいの。無事終わったんやし。それより、どこのどなた?お相手は。」
私は、ここでもうまく答えられなかった。
突撃したくせに、彼のことがわからないまま逃げてしまったと言うと、先輩がたに大笑いされて、茶化され、慰められた。
「ま、それはそれとして、明日はアンケートの集計、よろしくね。あきちゃんの係に決定。」
議長にそう言われて、私は仕方なくうなずいた。
当分、逆らえない気がする……。
翌日は、お昼過ぎに登校した。
お彼岸の連休も終わり、道もすいてるし、風も多少は凉しく感じた。
生徒会室にはまだ会長しか来てなかった。
「先に始めてようか。」
そう促され、私はアンケート用紙の束を積み上げ、書記用ノートパソコンでエクセルに入力し始めた。
「……あれ?」
無心に指を動かしていたが、ふと引っかかりを覚えて、手を止めた。
この字、この言葉づかい、内容……見覚えがある……。
「あれぇっ!?」
「あき、うるさいっ。」
いつの間に来たのか、副会長にそう言われて、私は身をすくめた。
黙って、生徒手帳を取り出し、小さく折った紙を開く。
……昨日、彼に目の前で書いてもらったアンケート用紙を私はちゃっかり隠匿したのだが、ほぼ同じモノがアンケートの束の中にあったのだ。
どいうこと?
2枚を並べて確認する。



