彩乃くんは、髪をかき上げながら言った。
「あほか。白い浴衣なんか外で着るな。透けるやろが。」
え?
思わず自分の体を見下ろす……なるほど、下着のラインがくっきり。
「……わかった……でも、口でそう言ってよ……最初から彩乃くんが選んでよ……。てか!合コンかて、彩乃くんと再会する前の話やんか。怒らんといてよ。もう二度と行かへんから。」
言ってると、ボロボロと涙があとからあとから滝のように流れる。
彩乃くんは、天を仰いでため息をついた。
「別に、あきに怒ってるんちゃう、と思う。かっこつけてんと、さっさとあきに会いにいけばよかった、って後悔してる。そしたらよそ見なんかさせへんのに。」
彩乃くんの言葉に、私の涙がピタッと止まる。
「うん。早く会いたかったね。でも、別によそ見とかマジでしてへなんし。ほんまただの付き合いやし。」
何度も繰り返したら、彩乃くんに抱きしめられた。
「わかったから早よ着替えてこい。その浴衣はマジであかんて。」
耳元でそう囁かれて、解放された。
「……はい。」
私は、よろけそうになりながらおぼつかない足取りで着替えに行った。
相変わらず、私たちは唇が触れるだけのキスまでで止まっている……ので、少しのことでドキドキしたり、パニクったり大変だ。
特に彩乃くんは、理性と性欲の葛藤が顕著。
……その都度、別にいいのに、と思ってしまう。
てか、未だにかたくなに抱こうとしない理由がわからない。
この夏休みには、多少進展するのだろうか。
彩乃くんの選んだ浴衣は、藍染めなのに華やかですごく品のある……いかにも彩乃くん好みのものだった。
「似合う?」
……もし今ここにセルジュがいたら、ため息をつかれて「彩乃は似合ってたのに」とか歎かれるんだろう。
でも彩乃くんはとろけそうな優しい瞳で
「……ああ、かわいいわ。」
と、褒めてくれた。
怒ってる時との落差の激しいこと。
ま、それも含めて彩乃くんだから、と、私は無理矢理自分を納得させた。
祇園祭は、もちろん祇園さん、つまり八坂神社の神事ではあるが、祇園祭に神社に参る人は少ない。
メインはやはり、鉾町と呼ばれる中京区・下京区の氏子さん達の町。
国宝重文を惜しみなく飾り付け、動く美術館のような絢爛豪華な鉾を見て歩くのが一般的な楽しみかただ。
「彩乃くんは、いつもどこ行くん?」
浴衣の人でごった返す地下鉄の四条から上に出る。
「いろいろ。家元と一緒にお呼ばれが多いかなあ。料亭とか、お茶屋さん、鉾町の家のお座敷、床(ゆか)。」
……世界が違う……。
「あほか。白い浴衣なんか外で着るな。透けるやろが。」
え?
思わず自分の体を見下ろす……なるほど、下着のラインがくっきり。
「……わかった……でも、口でそう言ってよ……最初から彩乃くんが選んでよ……。てか!合コンかて、彩乃くんと再会する前の話やんか。怒らんといてよ。もう二度と行かへんから。」
言ってると、ボロボロと涙があとからあとから滝のように流れる。
彩乃くんは、天を仰いでため息をついた。
「別に、あきに怒ってるんちゃう、と思う。かっこつけてんと、さっさとあきに会いにいけばよかった、って後悔してる。そしたらよそ見なんかさせへんのに。」
彩乃くんの言葉に、私の涙がピタッと止まる。
「うん。早く会いたかったね。でも、別によそ見とかマジでしてへなんし。ほんまただの付き合いやし。」
何度も繰り返したら、彩乃くんに抱きしめられた。
「わかったから早よ着替えてこい。その浴衣はマジであかんて。」
耳元でそう囁かれて、解放された。
「……はい。」
私は、よろけそうになりながらおぼつかない足取りで着替えに行った。
相変わらず、私たちは唇が触れるだけのキスまでで止まっている……ので、少しのことでドキドキしたり、パニクったり大変だ。
特に彩乃くんは、理性と性欲の葛藤が顕著。
……その都度、別にいいのに、と思ってしまう。
てか、未だにかたくなに抱こうとしない理由がわからない。
この夏休みには、多少進展するのだろうか。
彩乃くんの選んだ浴衣は、藍染めなのに華やかですごく品のある……いかにも彩乃くん好みのものだった。
「似合う?」
……もし今ここにセルジュがいたら、ため息をつかれて「彩乃は似合ってたのに」とか歎かれるんだろう。
でも彩乃くんはとろけそうな優しい瞳で
「……ああ、かわいいわ。」
と、褒めてくれた。
怒ってる時との落差の激しいこと。
ま、それも含めて彩乃くんだから、と、私は無理矢理自分を納得させた。
祇園祭は、もちろん祇園さん、つまり八坂神社の神事ではあるが、祇園祭に神社に参る人は少ない。
メインはやはり、鉾町と呼ばれる中京区・下京区の氏子さん達の町。
国宝重文を惜しみなく飾り付け、動く美術館のような絢爛豪華な鉾を見て歩くのが一般的な楽しみかただ。
「彩乃くんは、いつもどこ行くん?」
浴衣の人でごった返す地下鉄の四条から上に出る。
「いろいろ。家元と一緒にお呼ばれが多いかなあ。料亭とか、お茶屋さん、鉾町の家のお座敷、床(ゆか)。」
……世界が違う……。



