「つまり、あそこにいはるの?」
聞けば、彼、上垣真秀さんの勤め先は東山の墓処。
うちの学校の北隣の峰にいるらしい。
あの日は行事のお手伝いで本山に来ていたようだ。
「あきちゃん、母方のお墓あるってゆーてたよね?お墓参り、一緒に行っていい?」
……は?
ものすごく驚いたけど、遙香は真剣だ。
「いいけど、うち、『仏ほっとけ』の家で……お彼岸ぐらいしかお墓行かへんけど……」
遙香は盛大にため息をついた。
「違~う!お彼岸はお墓参りするんじゃなくて、お寺のお彼岸法要に参加することのほうが大事やから!」
……うわ、めんどくさ~。
いきなり伝導者のようになった遙香が言うには、うちの宗派ではお墓は必ず建てるという必要はないらしい。
故人の供養のためではなく、残った人がよすがを忍ぶために建立するらしい。
だから「○○家の墓」じゃなく「南無阿弥陀仏」「倶会一処」と正面に彫るのが正解らしい。
へえ……てか、うちの母方、ばっちり「○○家の墓」だわ。
遙香に見せたらまた文句言われそう……。
「あ~、それはそうと、義人くんのお母さまからお誘い来てたよ。」
「え?今度は何だろう?」
ゴールデンウィークのピクニックがよっぽど楽しかったらしく、薔薇のそばでのお茶会や蛍の鑑賞会などと季節の催しにご招待してくださるようになった。
「屋形船ですき焼きを食べながら鵜飼いを見るんやって。夏休みになってからがいいよね?」
奈津菜と燈子ちゃんがはしゃいでるのに比べると、遙香は微妙な顔をしていた。
……まあ、今の遙香にとっては、もはや義人くんは憧れの人でも目標でもなくなってしまってるから……興味がないわけではないだろうけど、今までの自分の言動が恥ずかしく感じるらしい。
義人くんは、全く気にしてないし、むしろ遙香の変化を喜んでるぐらいなのだが。
7月に入ると、京都は祇園祭。
駅構内には祇園囃子が流れ、デパートの店員さんや銀行の窓口のお姉さんも浴衣を着用する。
ちょうど期末テスト期間中に鉾立てが始まると、私は毎年、わざわざそれを近くで見たいがために通学にバスを利用する。
テストが終わると、祇園祭も本番。
今年は、土日が宵々山、宵山なので例年より賑わいそうだ。
「もぉ~、爆睡。めっちゃ寝た。お能、やばいって。睡眠剤やろ、あれ。」
ランチを取りながら、奈津菜がまだ目をこすってるぐらい……確かにつらかった。
宵々山の土曜の午前中、私たちの学年は能楽鑑賞に連れていかれた。
「……私、まだ頭、寝てるもん……」
確かに遙香の目もとろ~んとしていた。
「降誕会の時はここまで眠くなかったのにね。」
燈子ちゃんの疑問に、うんうんと頷く。
今回は、幽玄の代表的演目「葵上」……事前に謡本のコピーをもらってても、眠かった!
聞けば、彼、上垣真秀さんの勤め先は東山の墓処。
うちの学校の北隣の峰にいるらしい。
あの日は行事のお手伝いで本山に来ていたようだ。
「あきちゃん、母方のお墓あるってゆーてたよね?お墓参り、一緒に行っていい?」
……は?
ものすごく驚いたけど、遙香は真剣だ。
「いいけど、うち、『仏ほっとけ』の家で……お彼岸ぐらいしかお墓行かへんけど……」
遙香は盛大にため息をついた。
「違~う!お彼岸はお墓参りするんじゃなくて、お寺のお彼岸法要に参加することのほうが大事やから!」
……うわ、めんどくさ~。
いきなり伝導者のようになった遙香が言うには、うちの宗派ではお墓は必ず建てるという必要はないらしい。
故人の供養のためではなく、残った人がよすがを忍ぶために建立するらしい。
だから「○○家の墓」じゃなく「南無阿弥陀仏」「倶会一処」と正面に彫るのが正解らしい。
へえ……てか、うちの母方、ばっちり「○○家の墓」だわ。
遙香に見せたらまた文句言われそう……。
「あ~、それはそうと、義人くんのお母さまからお誘い来てたよ。」
「え?今度は何だろう?」
ゴールデンウィークのピクニックがよっぽど楽しかったらしく、薔薇のそばでのお茶会や蛍の鑑賞会などと季節の催しにご招待してくださるようになった。
「屋形船ですき焼きを食べながら鵜飼いを見るんやって。夏休みになってからがいいよね?」
奈津菜と燈子ちゃんがはしゃいでるのに比べると、遙香は微妙な顔をしていた。
……まあ、今の遙香にとっては、もはや義人くんは憧れの人でも目標でもなくなってしまってるから……興味がないわけではないだろうけど、今までの自分の言動が恥ずかしく感じるらしい。
義人くんは、全く気にしてないし、むしろ遙香の変化を喜んでるぐらいなのだが。
7月に入ると、京都は祇園祭。
駅構内には祇園囃子が流れ、デパートの店員さんや銀行の窓口のお姉さんも浴衣を着用する。
ちょうど期末テスト期間中に鉾立てが始まると、私は毎年、わざわざそれを近くで見たいがために通学にバスを利用する。
テストが終わると、祇園祭も本番。
今年は、土日が宵々山、宵山なので例年より賑わいそうだ。
「もぉ~、爆睡。めっちゃ寝た。お能、やばいって。睡眠剤やろ、あれ。」
ランチを取りながら、奈津菜がまだ目をこすってるぐらい……確かにつらかった。
宵々山の土曜の午前中、私たちの学年は能楽鑑賞に連れていかれた。
「……私、まだ頭、寝てるもん……」
確かに遙香の目もとろ~んとしていた。
「降誕会の時はここまで眠くなかったのにね。」
燈子ちゃんの疑問に、うんうんと頷く。
今回は、幽玄の代表的演目「葵上」……事前に謡本のコピーをもらってても、眠かった!



