文化祭2日め。
今日も私には自分の時間は、ない。
……とか言いつつ、こっそり燈子ちゃんのダンスだけは覗きに行ってみたけど、トラブルが発生したらしく、すぐに議長に呼び戻された。
そのまま実行委員本部でトラブル対応しているうちに時間が過ぎていく。
何度か遙香から携帯が鳴ってたいたけど、出る余裕は全くなかった。
やっと落ち着いたのは15時すぎ。
生徒会室で遅い昼食を取りながら、閉会式で発表する部門別ランキングの集計をとる。
最後は受付の片付けへと向かった。
「あ!あきちゃん!もう~~~!何回電話したと思ってるの~!友達、みんな今帰っちゃったよ。彼だけ残って待っててくれるけど。」
たぶんお友達一行を正門まで送って戻ってきたのだろう、軽く化粧までしてる遙香にそう声をかけられて、私は苛立った。
「電話出る暇もないぐらい忙しかった!てか、今もまだ忙しいねん!手伝って!」
汗だくで湯気が出そうな私は、遙香に椅子を4脚押し付ける。
「え~。重いよ~……あ!バイバ~イ♪」
遙香は椅子を渋々受け取ったけど、遠くのフェンス越しにお友達一行が手を振ったらしく、それに応えた。
振り返って私も見る。
……遠くて顔なんか見えやしない……けど、1人、気になる人がいた。
すらりと高い細い長身に、長い黒髪を後ろで無造作に束ねた……あ!
あの人!?
夏休みに一度だけ電車で遭遇した綺麗な人。
あの後、電車に乗るたびにキョロキョロと周囲を見回してたけど見つけることはなかった。
ちょうど1ヶ月ぐらい過ぎたけど、印象が強かったのか、忘れることはできなかった。
ほんとにあの人のような気がする。
私は慌てて、既に箱詰めした荷物の中から、双眼鏡を取り出した。
「え?何でこんなとこにそんなもんあるの?」
「行事の時は必需品やもん!」
遙香の素朴な疑問に返事するのもまどろっこしい。
私は急いでピントを合わせて覗く。
……斜め後ろからの姿しか見えない。
でも、あの人に見える。
「遙香!遙香!これ、見て!あの人!髪の長い男の人、お友達?」
遙香は双眼鏡を受け取って覗いた。
「え~と……知らない人。今日はじめて見た……友達てか、例の、ほら、目標くんが連れてきたの。気持ち悪いロン毛で無口でとっつきにくくて変な人やったわ……え!?あきちゃん!?どうしたの~!?」
私は、遙香の言葉を半分も聞いてなかった。
知らない人、と聞いた途端、自分の中で何かがプツッと切れた。
私はアンケート用紙と鉛筆を挟んだバインダーを1セットつかみ取り、走り出した。
心臓破りのスロープを一気に駆け上がり、顔見知りの門衛さんに会釈しながら駆け抜ける。
今度は逆にけっこうな急坂を駆け下りるのだが……狭い歩道は帰ってく人たちでいっぱい。
道路は道路で、生徒を待っている車が並んで停車していて、全然走れない。
人波をかきわけかきわけ、私は前へ進んだ。
……私、何やってるんだろう?……と、途中で冷静な私が頭をもたげたけれども、脚が止まらなかった。
今日も私には自分の時間は、ない。
……とか言いつつ、こっそり燈子ちゃんのダンスだけは覗きに行ってみたけど、トラブルが発生したらしく、すぐに議長に呼び戻された。
そのまま実行委員本部でトラブル対応しているうちに時間が過ぎていく。
何度か遙香から携帯が鳴ってたいたけど、出る余裕は全くなかった。
やっと落ち着いたのは15時すぎ。
生徒会室で遅い昼食を取りながら、閉会式で発表する部門別ランキングの集計をとる。
最後は受付の片付けへと向かった。
「あ!あきちゃん!もう~~~!何回電話したと思ってるの~!友達、みんな今帰っちゃったよ。彼だけ残って待っててくれるけど。」
たぶんお友達一行を正門まで送って戻ってきたのだろう、軽く化粧までしてる遙香にそう声をかけられて、私は苛立った。
「電話出る暇もないぐらい忙しかった!てか、今もまだ忙しいねん!手伝って!」
汗だくで湯気が出そうな私は、遙香に椅子を4脚押し付ける。
「え~。重いよ~……あ!バイバ~イ♪」
遙香は椅子を渋々受け取ったけど、遠くのフェンス越しにお友達一行が手を振ったらしく、それに応えた。
振り返って私も見る。
……遠くて顔なんか見えやしない……けど、1人、気になる人がいた。
すらりと高い細い長身に、長い黒髪を後ろで無造作に束ねた……あ!
あの人!?
夏休みに一度だけ電車で遭遇した綺麗な人。
あの後、電車に乗るたびにキョロキョロと周囲を見回してたけど見つけることはなかった。
ちょうど1ヶ月ぐらい過ぎたけど、印象が強かったのか、忘れることはできなかった。
ほんとにあの人のような気がする。
私は慌てて、既に箱詰めした荷物の中から、双眼鏡を取り出した。
「え?何でこんなとこにそんなもんあるの?」
「行事の時は必需品やもん!」
遙香の素朴な疑問に返事するのもまどろっこしい。
私は急いでピントを合わせて覗く。
……斜め後ろからの姿しか見えない。
でも、あの人に見える。
「遙香!遙香!これ、見て!あの人!髪の長い男の人、お友達?」
遙香は双眼鏡を受け取って覗いた。
「え~と……知らない人。今日はじめて見た……友達てか、例の、ほら、目標くんが連れてきたの。気持ち悪いロン毛で無口でとっつきにくくて変な人やったわ……え!?あきちゃん!?どうしたの~!?」
私は、遙香の言葉を半分も聞いてなかった。
知らない人、と聞いた途端、自分の中で何かがプツッと切れた。
私はアンケート用紙と鉛筆を挟んだバインダーを1セットつかみ取り、走り出した。
心臓破りのスロープを一気に駆け上がり、顔見知りの門衛さんに会釈しながら駆け抜ける。
今度は逆にけっこうな急坂を駆け下りるのだが……狭い歩道は帰ってく人たちでいっぱい。
道路は道路で、生徒を待っている車が並んで停車していて、全然走れない。
人波をかきわけかきわけ、私は前へ進んだ。
……私、何やってるんだろう?……と、途中で冷静な私が頭をもたげたけれども、脚が止まらなかった。



