「ほな、15分後に再開するさかい、副家元、よろしゅう。明子ちゃん、明日はよろしくお願いしますね。」
お家元はそう言い置いて、行ってしまった。
たぶんとっても忙しいのだろう。
なのに、彩乃くんはふてくされて寝転んでしまった。
私は彩乃くんのそばに行き、お茶を手渡す。
ついでにチョコアイスを袋から出して、口に入れてあげる。
「お衣装、いつ着るの?」
彩乃くんの口の中のアイスが小さくなった頃にそう尋ねた。
「他の出演者みんな帰らはってからしか無理やな。あき、それまで残ってくれる?」
……彩乃くんが子犬モードに変わった。
「うん。他の人いいひんくなったら、私もお稽古場で見てもいい?」
彩乃くんの顔が、ぱあぁっ!と明るく輝く。
ほら、この顔。
こんなかわいい顔見せられたら、私は自分の時間も労力も全て彩乃くんにあげたくなってしまう。
「ほな、もうちょっとがんばってくる!あ、あきが明日着る着物、家元の部屋にかけてあるし。こっち持ってきとき~。」
そう言い置いて、彩乃くんはスタスタとお稽古場へと戻った。
残された私は、お茶を啜ってから、急須と湯のみを洗う。
それからお家元のお部屋へ行き
「失礼しますよ~。」
と、誰もいないお部屋に一声かけながら入った。
衣紋掛(えもんか)けにかけられたお着物は、山吹色の段染めぼかしに裾模様……ああ、やっぱり今回もしっかり五つ紋やわ。
あまりにも立派なお着物にため息をつきながら、畳ませてもらった。
傍らの帯は、白っぽい光沢の若葉色……プラチナ箔とかプラチナ糸とか、恐ろしげなモノのような気がする。
そりゃもう、組み合わせも、季節にもばっちり合うてますけどね。
私が着るにはもったいなさすぎるよ……。
帯揚げと帯締め、どうしようかな~。
朱鷺色の綸子(りんず)と、金糸の混じった平締めでいいかな~。
……お家元から過分にちょうだいしているバイト代の半分を和装小物に費やしていても、まだまだ足りない気がするよ。
17時半過ぎだろうか。
外がガヤガヤしてることに気づく。
社中さんのお稽古終わったのかな。
渡り廊下まで行き、庭に下りて、玄関のほうを覗く。
三々五々、社中さん達が帰っていってるようだ。
私はつつじを一輪もぎって、蜜を吸ってから、つくばいに浮かべた。
お稽古場を覗くと、あと幾人かの社中さんが帰り仕度中だった。
水屋ではまだ、みなさんが使った湯のみを洗ってるかたもいらしたので、新しいふきんを持っていき横から拭くのを手伝い茶箪笥にしまった。
お家元はそう言い置いて、行ってしまった。
たぶんとっても忙しいのだろう。
なのに、彩乃くんはふてくされて寝転んでしまった。
私は彩乃くんのそばに行き、お茶を手渡す。
ついでにチョコアイスを袋から出して、口に入れてあげる。
「お衣装、いつ着るの?」
彩乃くんの口の中のアイスが小さくなった頃にそう尋ねた。
「他の出演者みんな帰らはってからしか無理やな。あき、それまで残ってくれる?」
……彩乃くんが子犬モードに変わった。
「うん。他の人いいひんくなったら、私もお稽古場で見てもいい?」
彩乃くんの顔が、ぱあぁっ!と明るく輝く。
ほら、この顔。
こんなかわいい顔見せられたら、私は自分の時間も労力も全て彩乃くんにあげたくなってしまう。
「ほな、もうちょっとがんばってくる!あ、あきが明日着る着物、家元の部屋にかけてあるし。こっち持ってきとき~。」
そう言い置いて、彩乃くんはスタスタとお稽古場へと戻った。
残された私は、お茶を啜ってから、急須と湯のみを洗う。
それからお家元のお部屋へ行き
「失礼しますよ~。」
と、誰もいないお部屋に一声かけながら入った。
衣紋掛(えもんか)けにかけられたお着物は、山吹色の段染めぼかしに裾模様……ああ、やっぱり今回もしっかり五つ紋やわ。
あまりにも立派なお着物にため息をつきながら、畳ませてもらった。
傍らの帯は、白っぽい光沢の若葉色……プラチナ箔とかプラチナ糸とか、恐ろしげなモノのような気がする。
そりゃもう、組み合わせも、季節にもばっちり合うてますけどね。
私が着るにはもったいなさすぎるよ……。
帯揚げと帯締め、どうしようかな~。
朱鷺色の綸子(りんず)と、金糸の混じった平締めでいいかな~。
……お家元から過分にちょうだいしているバイト代の半分を和装小物に費やしていても、まだまだ足りない気がするよ。
17時半過ぎだろうか。
外がガヤガヤしてることに気づく。
社中さんのお稽古終わったのかな。
渡り廊下まで行き、庭に下りて、玄関のほうを覗く。
三々五々、社中さん達が帰っていってるようだ。
私はつつじを一輪もぎって、蜜を吸ってから、つくばいに浮かべた。
お稽古場を覗くと、あと幾人かの社中さんが帰り仕度中だった。
水屋ではまだ、みなさんが使った湯のみを洗ってるかたもいらしたので、新しいふきんを持っていき横から拭くのを手伝い茶箪笥にしまった。



