「珍しいですね、貴方が人を気にかけるなんて…しかも今日初めて会った“女”になんて。」




朔弥が信じられないものでも見るように訝しげに俺を見てくるから、最高の殺気をおみまいした。



「な、な、言っただろ!!美緒ちゃんは全くもって俺達に興味沸かないんだぜ」




「しかも嘘とか騙してるとか興味を惹かしてるとかじゃなく、ただ単に俺等に興味がねえらしい」




溢れるような満面の笑みで夏樹は話してくる。

さっきこの女になんかやられたことをまだ根に持ってるらしい佳祐。



だけど、見てれば分かる…
こいつはマジで興味がないってことは…



まさか俺達のこと知らないんじゃないか




なんかそれもあり得るな…


とりあえず、この女が黒か白かまだ分かんないことには埒(ラチ)があかない



「祐介、この女を調べろ」




「ああ、分かった」




俺は祐介に情報をハッキングするよう頼んだ


祐介のことだ、一時間あれば十分だろう



俺はまた女の観察に戻った…


ん?


この女の左手の薬指に指輪の跡が残っていた。
跡っていうより、火傷みたいに消えない傷痕のようになっていた。


俺は無性にこの女が知りたくなった




お前は一体全体何者何だよ
何を背負ってんだ…
どんな闇がお前を苦しめるだ…




俺はこの時まだなにも知らなかった。
この女が背負っているのはそんなに軽く言えるものなんかじゃねえってことに…



side響也 end