「・・・・ねえ。」

僕の太ももに顔を埋めてた彼女が
眠そうに僕を見た

「ん?」

少し泣きそうな
困った顔をして僕を見あげた

「たしか君と出会ったのはもう十年も前だね」


「そうだっけ?」

本当は覚えていた

「君を追いかけてこっちに来てしまったのはもう八年前か。」

「あー。あったねそんなこと」


僕は覚えてないふりをする

君はその演技にまんまと騙されて
僕の太ももをつねる

痛い、痛い、と言うと
悪ガキみたいな顔で僕に笑顔を向ける

「あの頃は若かった・・・・ねっ!」

太ももにかおをのせていのに
勢いよく僕に抱きついて押し倒す。

僕は特に動じない
伊達に10年の仲ではない。