ある日、オトコノコになっちゃた。1

待って、おちつけ。おちつけ。

ゆっくり、昨日のことを思い出すんだ……


***
朝。

いつものようにイチゴ・オーレを飲みながら廊下の窓に立っているキミを見てた。




長谷川ハルキくん。

私の一方的な片思い。


きっかけは入学式の日のこと

***
やばい、やばい、やばい

私は入学式早々
寝坊した

なんでお母さん起こしてくれなかったの~!

もう、最悪ッ!!

その時

ドンッ!!

「きゃあっ!」

「うわっ」

曲がり角で、ケータイをいじりながらパンを食べて自転車を運転するという、ある意味すごい30代ほどの男とぶつかった。


「つっ、痛っえな!よそ見してんじゃねえ!」


と言って、最低男はよろめきながら姿を消した。

はあ?
何あれ。意味わかんない…

しかも、ぶつかった時に転んで膝から血がでてる。

もお…。最悪。


「大丈夫?」


「へっ?」


そこにいたのは、少しクセのついた黒髪の、身長は180㎝くらいのイケメンがいた。

「ふえ?」

カアアアと顔が高揚するのがわかる。
私は男子と話すのが苦手なのだ。

「だっ、大丈夫です!」

スクッと立ち上がろうとしたが、膝の痛みに耐えられず倒れそうになった。

「きゃ…」

「あぶなっ」

ふわっと、甘い香りのするイケメンに支えられた。

「あっ、ありがとう…ございます」

ラベンダーの香りかな?

「いーえ。あ、敬語じゃなくていいよ」

「へ?」

なんでと聞く前に理由がわかった。
そのイケメンは私と同じ高校の制服を着ていた。さらにバッチの色も同じだった。

「同じクラスだといいね」

にこっと笑顔になる。

「あ!遅刻!」

「あと5分だ…」

「急ごう!」

「あっ」

手を握られて、私は学校へ向かった。