最後の賭け

気に入らなかったのは、それだけじゃない。

もちろん、ユウジの運転する車に乗るのは初めてだし、ドライブも楽しみにしてた。

予想通りの展開にいささか呆れはしたものの、まだ耐えられた。

車の中がすごく綺麗に掃除されてたのは意外だったにしろ、カチンと来たのは、車の中に微かに漂う匂いだった。

「あれ、この匂い……」

気づいたのは、普段かぎ慣れてるからなのか、徹の車だという不審感からなのか。

「あ、ほんとだ。真依子さんが好きな匂いだね、これ。徹にも薦めたから使ってくれてるのかも」

そんな風に聞いてしまったら、もうこの匂いに対して一種の抵抗まで感じる。

それでも、ユウジと会話しながら海辺を走り、綺麗な景色を見ながらドライブしてるうちに、この目立つ車の色も、匂いも、どうでもよくなっていた。

今思えば、どこでスイッチが入ったのだろう。