ルイは思っていた。

少し多勢に無勢だなと‥‥‥‥。

男四人に、私にはヴァンがいるが、少々『分』が悪くなったか‥‥‥‥。

たが、ある『考え』が、頭に浮かび、冷笑した。

そして、ヴァンに『命令』した。

「ヴァン、その『ハーフ・ヴァンパイア』を『殺せ』!!」

ターゲットを、『陽菜』に絞ったのだ。

たぶん、この場にいる『人間』が『大切』に思っているであろう『少女』。

『殺す』には、『惜しい』、『美少女』だったが仕方ない。

「陽菜!!」

そう名前を呼ぶと、ヴァンが陽菜に近づく前に、佳那汰が、ヴァンの前に立ち塞がる。

「どきなさい。どかないと、貴方もただではすみませんよ?」

ヴァンは無表情のまま、低い声で、そう言った。

ルイよりも、冷たく光る薄紫色の瞳。

ヴァンは、佳那汰が動く前に、その手で、佳那汰の首を掴んだ。

「‥‥ぐっ、ううう‥‥‥‥。」

佳那汰が、苦しげに顔を歪める。

すると、ヴァンは、いきなり佳那汰を崖にほおり投げた。

「うわわわわわわわーっ!!」

佳那汰は、叫び声を上げて、崖の下に落ちて行った。

『『『佳那汰ぁ!!』』』

私たちは、同時に佳那汰の名前を呼んでいた。

私たちには、なすすべがなかった。

佳那汰の声は、もう聞こえなかった。

私は、崖のほうに駆け寄った。

そして、

「佳那汰ぁ!!佳那汰ぁ!!お願い、返事して!!佳那汰ぁ!!」

その場に、泣き崩れる。

「陽菜‥‥‥。」

クリスと大和と冬夜は、そんな陽菜を、ただ見ているしかなかった。

ルイとヴァンは、いつの間にか、姿を消していた。

そして、『佳那汰』は、『二度と私たちの前にその姿を見せることはなかった』。