「コイツ、『ヴァンパイア』じゃないの?」

佳那汰は、驚きの一言を口にした。

「佳那汰!?どうして‥‥‥?」

私が絶句していると、佳那汰は肩をすくめると、

「陽菜だけには言うけど、ボクも『ヴァンパイア』に『会った』からさ。」

佳那汰がそう言った時だった。

「‥‥それは、『本当』なのか!?」

私が佳那汰に聞くよりも先に、絞りだすように、クリスが確認するような声を出して言った。

私と佳那汰が、クリスのほうを見ると、すでに起き上がっていた。

「クリス!?もう大丈夫なの?」

「‥‥ああ、何とか‥‥‥‥。だが‥‥‥。」

そう言うクリスだが、まだ、青白い顔をしていた。

そして、佳那汰を見ると、

「お前は、俺の『事情』を知っているようだな?悪いが、『血』を分けてくれないか?」

そう言った。

すると、急に佳那汰は怒り出した。

「お前も、ボクを『女』扱いする気か?言っとくけど、ボクは‥‥‥。」

「男なんだろう?」

『『えっ!?』』

私と佳那汰は、同時にハモって、返事をしていた。

「クリス。佳那汰が『男』だと『知ってる』のに、何で『私』じゃなくて、『佳那汰』の『血』が欲しいの!?」

私は、『納得』がいかなかった。

「『ヴァンパイア』は、『女』の『血』を吸うのが『普通』じゃないの?だったら、私の‥‥‥。」

すると、クリスは、その私が言うのを遮り、

「『陽菜』の『血』を吸うのは、絶対に『ダメ』だ!!」

断固として、拒否した。

「いいか?」

クリスは、佳那汰に、『血』を吸うのを『了解』を得ている。

佳那汰は、一瞬、躊躇ったが、

「分かった。」

頷いた。

クリスが、佳那汰の血を吸い始めていた。

その時、私は、パッとその『光景』から目線を逸らした。

あれ?

何で、私は、目線を逸らしたんだろう?

ズキンッ!ズキンッ!ズキンッ!ズキンッ!

と、私は、ワケの分からない、胸の痛みが襲う。

その時だった。

私の部屋に、二人組の謎の男の人が風に舞って、突然、現れた。

「久しぶりだな、クリス。」

黒いコートに、黒いサングラスをかけた、その金色に光る髪の男の人が、冷笑を浮かべ、クリスを見ながら、そう言った。