小さな恋のメロディ

「…。綾香?」


遠くで私を呼ぶ声がする…。


「綾香?!」


目を開けると、心配そうな顔をした哲平が居た。


「ごめん、寝ちゃってた…」

「疲れてるから仕方ないよ。でも、お前全然起きないから、このまま起きないんじゃないかって心配したよ…」

「ごめんね」

「いいよ、もう寝よう」

「うん」


そう言って二人でベッドの中に入ると、哲平が腕枕をして、そのまま私を思いきり抱き締めた。


「…哲平?」

「ちょっと我慢して…」

「…大丈夫だよ」


そう言って私は、片手で哲平の頭を撫でる。

住む所も働く所も、何も決まっていない状態で、家族と離れて知らない街にいる事は、いくら哲平が男だからと言っても、不安じゃないはずがない…。

哲平は平気な顔をしているけど、きっと色んな思いを抱えているんだと思った。


私達は眠り、又、何も見えない朝が来る。


「じゃあ、今日は不動産探すぞ!」

「うん」


私達は不動産を一ずつ回った。
家賃が安くて、里沙のアパートから近くて、すぐに入れる所…。

なかなか見付からない…。
諦めかけていた時、やっと一軒の物件を見付けた。