小さな恋のメロディ

「えっ?」

「遠くに行かねぇ?」

「家の仕事は…?」

「その内耕平が継ぐよ。親父にはもう言ってある」

「哲平と…遠くに…行きたい…」

「じゃあ、明日行くぞ!」

「うん」


私は幸せと不安でいっぱいだった…。

私も哲平も何も知らなくて…。

それでも、まだ子供だった私達は何でも出来る気がしてた。

”二人なら何があっても、乗り越えられる”


本気でそう思っていた……。




翌朝、私と哲平はこの町を離れる準備をした。


「で、お前は何を持って来たの?」

「余り持って来てないよ」


鞄を開ける。
すると入れた覚えのない、取り上げられた携帯とクレジットカード。
そして、ママからの手紙が入っていた。




     綾香へ

何もしてあげられなくてごめんね。
カードは好きに使って。
本当に困った時は、電話をください。



たったそれだけ…。
たったそれだけだけど、私は泣きそうになった。


「やめるか?」

「ううん!」

「じゃ、そろそろ行く?」

「うん」