そう言って女は教室を出ていった。
少しだけ……頬が痛い。
「女はこえ―……」
クラスの男が騒いでる中、私が殴られたのを聞いたのか、田上が息を切らせてやってきた。
「綾香さん、大丈夫?」
「……」
「おいっ、誰か殴った奴連れてこいよ!!」
私は切れている、田上の腕を掴んで言った。
「別れましょ?」
「……なんで?!」
「こういうの……面倒臭いから」
「分かったよ!!」
そう言って田上は教室を出ていった。
この噂を聞き付けたさっきの女たちが戻ってきて、私を睨む。
そして全部の授業が終わり、家に帰るとママが聞いた。
「今日は男の子と一緒じゃないのね?」
「別れたから」
「……そう。ちょうどよかったわ」
居間からパパの笑い声がした。
「今日は小野田先生、お休みにしてもらったから、服に着替えて居間に行って挨拶なさい」
「……なんで?」
「いいから」
私は着替えて居間に向かう。
「失礼します」
「この子が綾香ちゃんかぁ。綺麗になったな」
「綾香、こっちに来なさい」
ここに行くように言われた意味が分からなかった。
でも、そこにいて少し分かった。
このおじさんは、いつか私のお義父さんになる人なんだと……。



