小さな恋のメロディ

「奇麗…」

「婚約指輪だよ。嵌めてみて」


右手の薬指に嵌めてみるとサイズはピッタリで、鳴海は微笑んで私を見る。

この指輪を嵌めた瞬間に私と鳴海の婚約は成立したんだと思った。


「よく似合ってるよ」

「…ありがとう」


食事を終え、家まで送って貰うと、大きなバラの花束を渡された。

部屋に戻って花瓶に花を入れて飾ると、服を着替えてベッドに横になり、右手を上にあげて鳴海から貰った指輪を見てみる。


自分が鳴海の物に、なったような気がした……。


ボーっと天井を見ていると、鳴海から電話が鳴った。


「…はい」

「俺」

「うん…」

「今日言い忘れたけど、他の男とは二人にならないで」

「えっ?」

「俺たちは婚約してるんだから」

「…分かった」


それは私が鳴海から初めて受けた束縛だった。

私は指輪を外して箱に入れ、机の引き出しにそっとしまう。

高校を卒業するまでは、付けなくていいよね?



哲平にこの指輪を見られたくないんだ……。