「えっ?勉強なら進藤さんの方が……」
そう言いかける千晶を無理矢理、自分の席の方に連れていく。
私は大きく息をすると、席に座る。
クラスの女たちは、相変わらず私の噂をしていた。
「結局、昨日の人が本命なんじゃん?」
「じゃあ、哲平も遊び?」
「じゃないの?でもいいじゃん、哲平には陽子がいるんだから」
『哲平には陽子がいるんだから』
聞きたくなかった……。
哲平が陽子と付き合っているのは、なんとなく分かっていたけど、その話しを聞くのは、まだ辛い……。
早く大人になりたい。
強くなりたい……。
「あんたたちいい加減にすれば?」
里沙の言葉に教室が静かになる。
「なにが?」
「下らない話しばかりしてないで、勉強でもすれば?」
「私たちは別に……」
タイミング良くチャイムが鳴り、先生が入ってくる。
クラスの女たちは気まずそうな顔をして、席に戻っていった。
「さっきはありがとう」
授業後、私は里沙に笑顔で言う。
「ううん、それより千晶がごめんね。あの子、悪気はないんだけど空気読めないんだよ」
困り顔の里沙。
「ううん、気にしてない」
里沙は笑った。
里沙は哲平がいなくなった私の心の隙間を埋めてくれる、大事な友達になっていた。



