「あ~……」
「あ~じゃなくて……」
「……婚約者だよ」
「婚約者?!」
私は高校を卒業したら、政略結婚で鳴海と結婚することを話す。
「哲平は?哲平は知ってるの?」
「知らない……と思う」
「私はよく解らないけど……。綾香はそれでいいの?」
私には結婚相手を選ぶ権利なんてない。
「もう決めたから……」
「……そっかぁ」
「なんか……ありがとね」
「なに言ってんの!綾香はひとりで溜め込まないで、吐きだしな。いつでも聞くからね」
「うん」
電話を切ると、胸がいっぱいになった。
『余り一人で溜め込むなよ』
哲平がくれた言葉と同じだったから……。
次の日学校へ行くと、里沙が来た。
「おはよ」
「おはよ」
里沙はなにか言いたそうな顔をして私を見る。
言いたいことは、なんとなく分かってるよ……。
「おはよ」
里沙の友達の千晶も、私と里沙のところに来る。
「あっ、進藤さんおはよ」
「おはよ」
「昨日見たよ。ポルシェの人!素敵な人だね」
私はなにも言わないで笑った。
「何処で知り合ったの?」
千晶は興味津々で私に聞く。
その様子を見ていた里沙か言う。
「千晶、昨日の宿題、分からないとこあるから、教えてよ」



