パパと鳴海のふたりの会話に私はいない。
私の気持ちなんて、この結婚には関係ないから……。
そんなことを考えながら、私はぼんやりとする。
鳴海に好きな女でもいれば、結婚を延ばすことも可能かもしれないけど、そんなに甘くはなかった。
「綾香さんがよければ、綾香さんが高校を卒業してすぐにでも、結婚してもよいと思ってますよ」
鳴海の言葉に私は驚いた。
「本当かね?」
「はい。綾香さんほどの人なら、誰かに取られてしまうかもと心配ですし……。僕も今年大学を卒業します。社会に慣れるまで大変だと思いますが、東城の家に入れば、綾香さんも大学に通えるし、問題ないでしょう」
「それもいいな」
それは少しでも早く、東城家と身内になりたいパパにとって、悪い話しではなく、パパが断る理由なんてない。
「善は急げだ。東城さんに電話してくるから、ふたりで話でもしていなさい」
そう言ってパパは部屋を出た。
「……なんでですか?」
私は重い口を開く。
「君、好きな男がいるでしょ?」
「……」
「婚約者に逃げられたりしたら、僕が笑い者になるからね」
「それだけですか?」
「他になにがあるの?」
そう言って、
鳴海は笑った……。



